「被災地にグラウンドを!」アントラーズ小笠原満男の熱き思い (3ページ目)
実は、大船渡にグラウンドを作ったのは、単に子どもたちが走り回る場所を確保するためだけではなく、別の役割も期待されていた。
「関東とかからいくつかのチームを呼んで、地元の何チームかと試合をするような、サッカーフェスティバルなどが開催できればと思っていました。そうした交流試合が行なわれれば、地元が活性化するだけでなく、他の地域から来てもらった人たちにも、被災地の現状を知ってもらえる機会になるかな、という思いもあったんです」(小笠原)
土のグラウンドだと、冬場は新たに土を足してもドロドロのまま…… しかし天候によっては、グラウンドがサッカーどころではない状態になる。それでは、せっかく関東などから来てもらっても、その遠征自体が無駄になってしまう。数年の間は、土を足したりして策を講じてきたが、それも今では限界になってきた。
そこで、天候に左右されることなく使用できるグラウンドとして浮上したのが、『人工芝』だった。
「人工芝なら、雨が降ってもぬかるみに悩まされることがないですし、水はけもいい。東北の中でも、あまり雪が降らない、暖かい地域性を生かして、大船渡に人工芝のグラウンドができれば、これから一層、全国からチームを呼びやすくなる。他にも、例えば冬の岩手県大会や東北大会も誘致できる。盛岡や秋田、青森のほうは結構雪が降るので、そちらからもどんどん人が来てもらえれば、街も活性化するし、人工芝のグラウンドを作る利点は大いにあると思うんですよ」(小笠原)
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