夏冬二冠の東福岡。「最弱世代」が高校サッカーの頂点に立てたワケ (4ページ目)

  • 粂田孝明(ストライカーDX編集部)●文 text by Kumeta Takaaki(STRIKER DX)
  • photo by Sho Tamura/AFLO SPORT

 しかしそれが、選手たちを発奮させた。誰もが強い“反骨心”を抱いて、かつてないほどの練習をこなしてきた。そして、「上の世代に負けない」――そんな思いを選手ひとりひとりが胸に秘め、チームは“ひとつ”にまとまっていった。試合では選手全員がピッチ内を縦横無尽に走り回り、最後まで諦めることなく、体を張ってプレーした。

 そうして彼らは、上の世代の華麗さとは違うものの、チームの結束の強さと、勝利に執着する愚直なサッカーを確立し、インターハイで優勝。ひとつ上の世代と同様の結果を手にしたのだ。

 ただし、選手たちはそれで満足することはなかった。中村が言う。

「僕たちは、ずっと“最弱”と言われてきた。そのレッテルをはがすためには、どうしても選手権のタイトルを獲る必要があった」

 インターハイ優勝後、選手たちの士気は再び上がった。選手権で優勝するために、選手ミーティングもそれまで以上に繰り返してきた。

 その際、何度も口にして、選手みんなの気持ちの中に刻んできたことは、「高みを見過ぎないこと」だという。優勝候補に挙げられながら、3回戦で敗れてしまった昨年度と同じ過ちを繰り返さないためだ。三宅が言う。

「今年は、一戦一戦、目の前の相手に勝つことだけに集中してきた」

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る