元レイソル工藤壮人、カナダへ出発。彼はなぜMLSを選んだのか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

 千葉県、柏市のスターバックス。レジの前に立った彼が注文を告げると、若い女性店員にさりげない口調でこう返された。

「向こうに行っても、頑張ってください!」

 渡されたペーパーカップには黒のマジックペンで、「応援しています!」とかわいいイラストと一緒に書かれていた。

 彼はそのカフェを大事そうに飲んだ。飲み干した後も、空のカップをゴミ箱に捨てることはできなかった。店を出て柏駅の方に向かって歩くと、いつものように大勢の人々でごった返していた――。

 昨年12月29日、工藤壮人はMLS(メジャーリーグサッカー)のバンクーバー・ホワイトキャップスへの移籍を発表している。

MLSバンクーバー・ホワイトキャップスへ移籍する工藤壮人MLSバンクーバー・ホワイトキャップスへ移籍する工藤壮人 それは意外なニュースだったかもしれない。

 工藤はJリーグ、柏レイソルのエースFWとして確固たる地位を築いてきた。2015年シーズンは北嶋秀朗のクラブ史上最多得点記録を更新。クラブのアイドル的存在だった。その彼が移籍するなら――。日本代表に選ばれ、国際大会で活躍し、欧州のトップリーグのクラブに移籍する、というのがステレオタイプな形かもしれない。

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