カズと同じ胸中? 44歳・永井秀樹が現役を続ける「糧」 (4ページ目)
永井秀樹(ながい・ひでき)。1971年1月26日生まれ。大分県出身。東京ヴェルディ所属のMF。国見高卒業後、国士舘大を経て、1992年にヴェルディ川崎に入団。1995年にJFLの福岡ブルックスに移籍すると、以来J1、J2、JFLの各クラブを渡り歩いてきた。そして2014年、古巣のヴェルディに4度目の復帰を果たした。「ヴェルディはチャンピオンチームとして、日本サッカーをリードしてきました。今は、まずその時代に戻ることがひとつの目標。さらに、停滞気味の日本サッカーを引っ張っていきたい。もちろん、『ヴェルディ? 終わっているでしょ』と言う人もいるでしょう。でも自分はいつもそうだけど、できる限り前向きに取り組んでいきたい。後ろ向きの集団は勝てないですから」
永井は、引退後の人生に思いを巡らしたことがないという。朧気(おぼろげ)に、“自分が果たせなかった「世界」という挑戦を後輩に託したい”という思いはある。しかし、それが指導者としてなのか、まったく違うアプローチなのか、想像もできない。
「いつだったか、健太さん(長谷川健太。ガンバ大阪監督)に、『いつ引退を意識しましたか?』と訊いたことがあるんですよ。健太さんが言うには、『選手はプレーすることだけに夢中だけど、ずっと続けていると、どこかのタイミングで次にやりたいことが高まって、それが現役を超える瞬間がある』って。健太さんの場合、指導者だったんだろうけど、今の自分にはイメージがない。だから、将来は見えないです(笑)」
44歳の中年は、今も無垢なまま、サッカー選手の日々を謳歌している。
「まあ、人生の計算ができない男ですからね」
折れているはずの肋骨のあたりをさすりながら、永井は屈託なく微笑んだ。
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