高校サッカー界屈指の練習量を誇る国見。その驚愕の「夏合宿」 (4ページ目)

  • 川端康生●構成 text by Kawabata Yasuo
  • photo by AFLO SPORT

――今、そんな練習をやっていたら、誰もついていけないというか、保護者とかからも相当なクレームがきそうです。

「そもそも、当時の国見サッカー部には、『国見の練習は日本一きつい』ということがわかっていて、それを承知で入部してきた連中ばかりが集まっていました。だから、みんな覚悟があった。そうした意識の高い選手たちが、レギュラーを目指して日々競争をしてきた。それが、国見なんです。

 だいたい普段の練習以外にも、選手個々が自主的に練習をやっていましたよ。昼休みに筋トレしたりして、僕もみんなのいないところで腕立て伏せとかを繰り返しやっていました。あと、毎朝5時には起きて、朝練の前にひとりでボールを蹴って練習していましたね。そうしないと、国見の練習についていけないし、レギュラーを勝ち取ることもできないと思っていましたから。

 厳しい環境だからこそ、身につくこともありました。例えば、シュート。シュート練習をする緑色の壁が体育館脇にあったんですが、その裏のほうに水道があって、壁の右側のわずかな隙間をボールが抜けていくと、その水道のところまでボールが転がっていくんですね。しかも、そこは(監督がいる)グラウンドからは見えない。だから、シュート練習のときは、みんな、そこを狙っていましたよ。水を飲みたいから。おかげで、正確なシュートが打てるようになりました(笑)。

 とにかく(過酷な状況の中で)必死だったわけですよ。さっき話したウォーミングアップもそう。時間がない中で、どうやって試合の準備をするのか、自分で頭をフル回転させて考える。そういうことから、"マリーシア"とか"ハングリー精神"とかが身についたんだと思いますね」

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