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10年前、「いつまで現役?」と聞かれたカズの答えとは (3ページ目)

  • 渡辺達也●取材・文 text by Watanabe Tatsuya photo by FAR EAST PRESS/AFLO

 2005年の春、ひとりの男がカズに会いに神戸にやってきた。京都、神戸でカズと一緒にプレーし、その後ジェフ市原(現ジェフ千葉)に移籍したが、戦力外になった望月重良(現SC相模原代表)だった。

 望月は「特発性大腿骨頭壊死症」という難病と戦いながら現役復帰を目指し、苦しいリハビリ生活を送っていた。当時、カズはまだ望月が難病であることを知らなかった。それでも、ボールを蹴ることができずにストレスが溜まっている望月の気持ちを察し、聞き役に徹していた。

 望月は、病気のことを明かして、リハビリのつらさや大変さを必死に話した。望月が期待していたのは、「あきらめないで、頑張れよ」「早く治して、また一緒にサッカーをやろうぜ」というカズからの励ましの言葉だった。しかし、カズはこう言った。

「シゲ、俺より先に引退すんのか。サッカーやめるのか」

 ドキッとした。

 望月は後に、こう言っている。

「あの言葉は、カズさんの『頑張れよ』という優しさの裏返しだった。もう一度カズさんと同じピッチに立つまで、引退できないと思いました」

 望月はその年の9月、横浜FCと契約し、11月に2年ぶりにピッチに立った。そして、その1年後に引退を決意。33歳だった。

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