2015.01.04

松木安太郎と福田正博が語り合う「日本の育成法に疑問あり」

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro

福田 欧州や南米的な特性をサッカーで身につけるためには、育成年代から海外に行くしかないでしょうね。でも、それは現実的ではないので、日本人が得意にしている点を伸ばした方がいいと思うんです。たとえば、サッカーでは「同じ局面は2度とない」という考えがあるため、状況を決めた練習をしない監督がいますが、反復練習によって「パターンを習得する」ことが日本人の特長と考えるならば、状況を決めた練習をしていくつかの「型」を身につけるのも手だと思うんです。練習ひとつを取っても日本人に合った方法を模索する。そういうことから変える時期ではないのかなと考えています。

松木 たしかに。これまでは海外の戦術や練習などを真似することで成長してきたけど、それだけではユース年代をはじめ、各カテゴリーで行き詰まりがでてきた。ならば、今まで築いたものをベースにしながら、「日本人にしかできないことは何か」を考えてみるタイミングなんだろうね。

福田 世界における日本代表チームの立ち位置を理解して、日本人のメンタリティーをわかって、日本人に向いているスタイルを作る。それができたときに日本のサッカーは育成年代から、もう一皮も二皮も剥けるんじゃないでしょうか。

■とくに強化の必要なポジションはどこか?

松木 あとは、やはりJリーグだよね。Jリーグがもっと魅力的にならないと。福田さんが指摘していたようにセンターバックやセンターフォワードで日本人選手の人材が不足しているなら、クラブが日本人選手を起用しやすい環境やシステムを作る。たとえば、センターバックの日本人選手のプレータイムが全試合の8割を超えたクラブには、金銭的な補償をするでもいいと思うんだ。そういう大胆な手を打たないと、日本代表の強化にはつながらないからね。

福田
 そうですね。一流国と互角以上に戦えるようになるためには、特にセンターバックの育成は必須事項ですから。このポジションの若手育成をどうしていくのか。クラブを含めたリーグ全体が、創設時の理念の通り、Jリーグを「日本代表の強化の場」と考えるべきでしょうね。そういった意味で言うと、2014年はW杯で1勝もできず、自分たちの立ち位置を見つめ直せたのは、いいことだったのかもしれません。

松木
 2015年はリオ五輪予選があるけれど、センターバックのポジションに人材は育っているの? 日本サッカーの命運を握っているとも言えるポジションだけど......。

福田
 五輪世代のセンターバックの人材は豊富です。鹿島の植田直通と、神戸の岩波拓也は、2011年のU--17W杯でベスト8に勝ち進んだときのメンバーで、高さと強さとうまさがあって順調に育っていると思います。ガンバ大阪の西野貴治も含めて、この世代のセンターバックはリオ五輪後にW杯ロシア大会のメンバー入りを狙える選手。一方でセンターフォワードは、人材不足の感は否めない。現時点では五輪代表やその下のカテゴリーに、将来的に本田(圭祐)や岡崎(慎司)、香川(真司)たちを脅かす存在になりそうな選手が今のところ見当たらない。ただし、本田がそうだったように、このポジションの選手は急成長を遂げることも多いので期待したいですね。