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激論!松木安太郎と福田正博が考える「Jリーグの未来」 (5ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro

福田 Jリーグの試合結果で、負けたことがニュースになるような特別に強いチームが、出てきてほしいですね。松木さんが監督をしていた93年、94年の頃のヴェルディ(当時はヴェルディ川崎。現在は東京ヴェルディ1969)は、負ければニュースになっていましたけど、今のJリーグには突出した強さを持つチームというのがない。それはちょっと寂しいことですから。

松木 やはり「4強時代」みたいな構図があった方が、観る人もわかりやすいはずだよ。どこが強いチームかよくわからない現状よりも、戦力的にどこが強くて、どこが苦しいのか。それをわかったうえで、強いチームが圧倒したのか、それとも弱いチームが番狂わせを起こしたのかを観れば、ファンもまた違った楽しみ方をJリーグに見いだせると思う。それにクラブ間の戦力が不均衡になれば、戦い方もいろんなバリエーションが増えるはず。今はどのチームも似たようなサッカーをしているから、どの対戦カードだろうと戦い方に大きな違いがないけれど、戦力差が大きくなれば、ボールポゼッションを高めてゴールをこじ開けようとするチームや、守りを固めてカウンターに徹するチームといったように、いろんなサッカーのスタイルが日本にも根付くと思うんだ。ただ、Jリーグに加盟するクラブがJ1に18、J2に22、J3に11と増えている状況で、すべてのカテゴリーで日本サッカーがそういう姿に育つためには、まだまだ時間とお金が必要だろうね。いい選手を自分のチームだけで確保しようとするには金銭的にも難しいのもあるからこそ、ここ数年のJ1優勝チームの獲得ポイントが63点くらいになっているんだろうね。

福田 そういう状況で、浦和レッズはかなり他チームから選手を獲得しています。だけど、結果につながっていないのが問題です(苦笑)。

松木 やっぱり資金的に見ても、西のガンバ大阪、東の浦和レッズが突出したクラブへと発展してもらいたいよね。もちろんそれ以外のクラブでも、資金面や設備面で可能性が出てくるなら、ビッグクラブになってほしい。その点で来年からJリーグの仕組みが変わるのは、ひとつのキッカケになるんじゃないかな。

福田 2015年からJ1は2ステージ制が復活して、ポストシーズンに各ステージ優勝チームと、年間勝ち点1位から3位による『チャンピオンシップ』を行なう方式に変わりますね。あと、分配金もこれまでは各クラブ横並びでしたが、今後は放映権料や成績、入場者数でも差がつくことになりましたから、これがどうなるか。

松木 いろいろ意見は言われているけれど、決まってしまったことだから、僕はまずは見守ろうと思っているんだ。分配金に差がつくことについても、意見はいろいろあるけれど、努力しているクラブがそれに見合った収入を手にするのはいいことじゃないかな。それによって、「戦力が均衡したJリーグ」という殻を破るキッカケにはなると思うんだよね。

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