柏木陽介の決意「レッズが日本サッカーの方向性を示す」

  • 河野 正●文 text by Kawano Tadashi
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

7月特集 Jリーグから始めよう(1)

 7月15日、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)のため、未消化だった第12節の2試合(※)が行なわれたJ1リーグ。いよいよ19日からは、ブラジルW杯開催によるおよそ2カ月の中断期間を経て、本格的な再開となる。

※セレッソ大阪1-2川崎フロンターレ、サンフレッチェ広島1-2横浜F・マリノス

   中断前の第14節を終えて首位に立ったのは、浦和レッズだった(9勝2分け3敗。勝ち点29)。中盤戦に差し掛かって、レッズがトップの位置にいるのは、2008年以来、6年ぶりとなる(2008年シーズンは最終的に7位)。

 際立っていたのは、守備の改善だ。

 昨季は、勝てば首位浮上という第31節のベガルタ仙台戦で3-3のドロー。その絶好機を逃すと、そのまま残り3試合ですべて完敗を喫した(第32節=1-3フロンターレ、第33節=1-4サガン鳥栖、第34節=2-5セレッソ)。勝負どころを迎えてのラスト4試合で、なんと大量15失点。そんな守備の脆(もろ)さが、優勝争いどころか、ACL出場圏内(3位以内)からも脱落する主要因となって、最終的に順位は6位まで後退した。

 リーグ最多の66得点を記録する一方、失点(56)もリーグワースト6位と多かった。それを受けて、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は「安易な失点が目立った。来季は何をすべきかはっきりした」と守備力向上に労力を注ぐことを誓った。その狙いが今季、ここまで見事結果に出ている。

 14試合でリーグ最少の9失点。昨季7試合だった無失点試合は、早くも9試合を数える。開幕前の強化合宿や日々の練習で植えつけてきた守備意識が、数字にも顕著に表れている。

 チームが共有する守備の意識は、ガンバ大阪との開幕戦でいきなり示された。前半43分に先制すると、ガンバは後半、人数をかけて攻めてきた。その敵陣にはスペースが広がっていたが、後半30分あたりからは、あえて攻撃を自重。守りに徹して、1-0で逃げ切り勝ちを収めた。その戦いを終えて、DF槙野智章はこう振り返った。

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