W杯で見たいFW。原口元気を代表に推す理由 (2ページ目)
それはスペイン代表も同じで、サイドに張りだしたヘスス・ナバスやペドロが、DFと1対1になってドリブルで仕掛ける局面が何度もある。また、グアルディオラ監督時代のバルセロナもこれは同じだった。ダニエウ・アウベス、ジョルディ・アルバの両サイドバックのどちらかがライン際の高い位置をとって攻撃に幅をもたらし、いいコンビネーションで守備を混乱させ、有利な状態でボールを受けて、1対1の仕掛けでゴールに迫る。
この場合、ポゼッションでボールを動かすことで相手の守備陣形を崩していき、そのうえで1対1を仕掛けるため、相手DFは後手を踏むことになり、攻撃側は先手をとることができる。もちろん、そういう状況であっても、相手DFの能力が高いと、突破することはなかなか難しいが、だからこそ、1対1を仕掛けて5割以上の確率で勝てる選手は貴重といえる。
そういう点から考えても、日本代表にも1対1でドリブルを仕掛けて突破していく選手がサイドに必要ではないだろうか。つまり、原口のようにゴールに向かってグイグイ切り込んでいける選手。今の原口は非常にコンディションがよく、相手DFにとって「怖さ」があるアタッカーだ。世界の舞台であのキレのある突破を見てみたいし、私は十分通用すると思っている。
同じようにドリブルで仕掛けるタイプのアタッカーとして齋藤学もいる。原口とは少しタイプが異なり、小柄で細かなステップを踏む選手なので、大柄な外国人選手にとっては対応しづらい選手といえる。
原口も齋藤も、香川真司や岡崎慎司とはキャラクターがまた違う選手なので、彼らのようなドリブラーは、「ジョーカー」としてベンチにいてほしい選手だ。勝ちにいかなくてはいけない局面で投入できる切り札として、膠着した状態を打開できるFWは重要だと私は考えている。
監督は、チーム構成を考えるときに、うまい選手を順番に選ぶよりも、特徴のはっきりしている選手を選ぶ傾向がある。その意味では、それぞれの選手のキャラクターを、ザッケローニ監督がどのように考え、どのような組み合わせを想定しているかが選考に影響してくるはずだ。
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