J1復帰即優勝もある。沖縄でベールを脱いだ「新生ガンバ」 (3ページ目)
遠藤個人としても、相手のプレッシャーが厳しいFW起用は、自身のスキルアップにつながった。特に、日本代表で本来のボランチに戻った際には、前への意識が喚起されるなど、プラスに働いた。昨年11月の欧州遠征、オランダ戦やベルギー戦で敵DFの裏に抜け出したり、サイドに流れて攻撃の起点になったりしたのは、ガンバでFWをやっていることが生かされた証でもある。
ただ、懸念されるのは、J2と違って、今季はJ1の舞台で代表クラスのDFたちと対峙するということだ。遠藤は「頻繁にポジションチェンジをするんで、どのポジションでもいい」と涼しい顔を見せるが、はたしてJ1でも結果を出せるのだろうか。
もうひとつ、新たに加わった外国人選手とのコミュニケーション不足も気にかかる。
西野監督時代のガンバは、アラウージョやマグノ・アウベスなど、外国人選手はJリーグで結果を出していた選手を獲得してきた。すでに日本の環境やサッカーに慣れていたので、チームにフィットする時間が早い、という判断があったからだ。それが今回は、ブラジルのクラブから直接獲得してきた。そのため、チームにすっかり馴染んでいた新加入の日本人選手に比べて、エブソンとリンスは、まだチームメイトと距離があった。ペアの練習では、彼らが日本人選手と組むことはなく、フォーメンション練習などでは、通訳の説明を受けながら何度も首を傾げていた。
もっとも、彼らが合流して10日余り。まだチームに溶け込めないのは仕方がない。日本の環境やガンバのサッカーにフィットするにはもう少し時間がかかるだろうが、彼らの実力の片鱗は沖縄キャンプで十分に垣間見られた。やがて彼らがタレント豊富な既存の選手たちとうまく融合すれば、2011年シーズンの柏レイソルのように、J1復帰即優勝という可能性も見えてくるはずだ。
「今すぐにリーグ戦が開幕しても、十分に戦えると思う。それほど、順調やと思うよ」
遠藤は、沖縄キャンプをそう総括した。
2月1日からは、ガンバ史上最長となる15日間の宮崎キャンプが始まる。戦術メニューを中心とした中身の濃いトレーニングを実践し、タイトル奪取への確固たるベースを完成させていくことになる。
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