なぜザッケローニ監督は「3-4-3」を封印しているのか? (4ページ目)

  • photo by D.Nakashima/AFLO

 監督のやりたいフォーメーションや好き嫌いというよりも、選手の特性を見て、そこから逆算してチームづくりを行ない、結果を残すことを優先するという決断も必要になる。ザッケローニ監督としては、「3―4―3」という形を考えつつも、アジアカップで優勝して以降、結果が出ている「4-2-3-1」で戦っているのだと思う。

 そうは言っても、ひとつのフォーメーションだけではなく、ほかのフォーメーションでも戦えたほうがいい。フォーメーションを変えることのメリットは、並びで相手を惑わせて、その狙いがうまくハマれば相手を混乱させることができる点にある。そのため、いくつかのフォーメーションをオプションとして持っておきたいというのは、あらゆる監督が考えること。選手が状況に応じてさまざまな布陣で戦える能力がさらに求められる時代になっている。

 戦術という部分では、選手のイメージ、固定観念が強すぎるとフォーメーションに縛られてしまう危険性もある。試合の途中でフォーメーションを変えても、自分たちが迷って混乱してしまったのでは本末転倒で意味がない。フォーメーションはあくまでも基本となる形であって、ひとつの指標、スタート地点。そこから、常に動く試合展開に合わせて個々の選手がどういうふうに連動するかが重要になる。

 ヨーロッパのビッグクラブの選手は、ボールを扱う技術や体力、スピードだけではなく、戦術を理解して適応する能力も非常に高い。これから先、そういう能力を日本人選手も伸ばしていけると思う。

 ザックジャパンが、今年のコンフェデレーションズカップに出場したとき、そうした部分も含めてどれぐらいできるのか。グループリーグで対戦するのはイタリア、ブラジル、メキシコ。6月の開幕が楽しみだ。

プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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