【Jリーグ】名波浩の視点/チームを変貌させる「新戦力」ベスト5 (2ページ目)
第一にセットプレイ。その精度の高さは誰もが認めるところで、これまでも彼の正確なキックから数多くの得点が生まれている。実際、野沢がいた一昨年の鹿島は、53得点中、セットプレイから(3プレイ以内に)生まれたゴールは21点だったが、野沢不在の昨年は50得点中、12点だった(データ提供/データスタジアム(株))。単純に昨年減った得点分が今年上乗せされると考えただけでも、チームにもたらす効果は絶大だ。
加えて、野沢は攻撃にイマジネーションとスピードを生み出す能力が非常に高い。もちろん昨季も、MFの遠藤康や柴崎岳らがいい働きを見せていたけれども、野沢の意外性、選択肢の多さは、彼らをはるかに凌ぐ。そのうえ、シーズンを通して安定した力を発揮できるのが心強い。まさにボールを安心して預けられる存在で、攻守を結びつける前線への最適なホットラインが築けるだろう。
野沢が入ることで、周囲の選手の負担が減り、その分新たな良さが生まれる可能性も膨らむ。昨季は2列目でプレイすることが多かった柴崎は、本来のボランチに移ることで違った一面を見せるだろうし、ボランチの小笠原満男にしても野沢にボールを託せばいいから、無理して前にボールを運ぶ必要がなくなって他の部分で余力を使えるようになる。それは、対戦相手にとっては極めてやっかいなことだ。
そして、いちばん変化しそうなのが、FWの大迫勇也。野沢の加入で「もうひと皮むけてほしい」という願望でもある。大迫は、体が強く、スピードがあって、ゴールバリエーションも豊富。昨季は9ゴールを記録したけれども、15点くらいとってもおかしくない能力を持っている。その力を引き出すには、大迫の動きに気を使ってくれる選手が必要で、その役割を果たせるのが、野沢。彼の最適なお膳立てによって、大迫が一層輝くことを期待したい。
第2位
DF鈴木大輔
(アルビレックス新潟→柏レイソル)
柏が優勝した一昨年は、DF近藤直也を軸としたセンターバックが充実していて、その強さがチームの勝利に大きく貢献していた。それが昨年は、近藤の負傷などもあって、やや弱体傾向にあったが、鈴木大輔の加入でその不安は完全に払拭された。
鈴木は、1対1の強さやボールを奪う能力など、センターバックとしてのストロングポイントはもちろんのこと、カバーリングやラインコントロールにも優れている。バランス感覚も持ち合わせているため、人に強く、ハードワークしながら相手FWを抑える近藤との相性も良さそう。鈴木がいれば、近藤の負担も軽減し、より安定した守備網を確立できるのではないか。
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