2013.02.01

【Jリーグ】
若手の海外移籍続出で、岐路に立たされたJリーグのクラブ経営

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 カズだけでなく、名波浩(磐田→ベネツィア/イタリア)、柳沢敦(鹿島→サンプドリア/イタリア)がともに26歳で、小笠原満男(鹿島→メッシーナ/イタリア)が27歳で、といった具合に、かつてはある程度Jリーグで実績を重ねてから、20代後半でヨーロッパへ出て行くケースが多かった。

 ところが、最近では宇佐美貴史(G大阪→バイエルン)、宮市亮(中京大中京→アーセナル)など、10代にして海を渡る選手も現れており、最近移籍が決まった選手を見ても、小野裕がまだ20歳、大前は22歳、永井と金崎は23歳で、最年長の阿部にしても25歳である。金崎を除けば、彼らのJリーグでの実働期間は、実質2、3年にすぎない。

 もちろん、21歳にして海外移籍を果たした中田英寿(平塚→ペルージャ/イタリア)、小野伸二(浦和→フェイエノールト/オランダ)などの選手もいたが、彼らに共通するのは、その時点ですでに日本代表(A代表)での実績があったことだ。

 それに比べると、永井にしてもJ1でのプレイ経験はわずか2年だし、ロンドン五輪での活躍はあってもA代表の実績はゼロ。小野裕や大前などは年代別代表でさえ、ほとんど実績がないのだ。

 にもかかわらず、彼らが海外移籍を果たせたのは、日本人選手全体の評価が上がっているからに他ならない。そこでは香川真司(C大阪→ドルトムント/ドイツ)をはじめとする、先人たちの活躍が担保となっている。

 と同時に、日本人選手全体の評価が上がったことは、また別の現象も生み出すことにつながった。すなわち、海外クラブへ選手を移籍させたJクラブが、"移籍金" (契約途中の選手を獲得するために、前所属クラブに支払う違約金)を得られるようになったことである。

 以前は、海外クラブに「移籍金を払ってまで日本人選手を取るメリットはない」という傾向が強かったため、中田浩二(鹿島→マルセイユ)や岡崎慎司(清水→シュツットガルト)らのケースのように、所属クラブとの契約満了を待って移籍金なしで海外移籍することが多かった。

 だが最近では、移籍金を支払ってでも日本人選手を獲得しようとする海外クラブが増えてきた。つまり、海外移籍はJクラブにとっても、単に「選手の夢をかなえてあげるために無償で送り出す」ものではなく、「ビジネスとして成り立つ」ものになりうる、あるいは、なりつつあると言える。