【日本代表】ザッケローニ監督が本田中心のチームをつくる理由
ザックジャパンの攻撃の中心選手としての地位を確立した本田圭佑福田正博 フォーメーション進化論 vol.35
左サイドがストロングポイントになっているザックジャパンにあって、右に岡崎慎司を置くのはなぜか。それはやはり、タイプが違う選手を置くことで、バランスをとっているということだろう。「柔」の香川真司と「剛」の岡崎慎司。このバランスが左右でとれている。
右に岡崎がいることによって、左の香川の技術力を生かしたサイド攻撃がアクセントとなる。だから、「チームとは、つまりバランスである」とよく言われるように、異なる個性の組み合わせが重要になる。「剛」だけではダメで、「柔」だけでもダメ。さまざまなタイプの選手をバランスよく配置するという意味では、日本代表は現在のバランスが一番いいと思う。
岡崎は、泥臭いプレイスタイルが信条。彼本人は自分が技術的に優れているという過信はないし、懸命に全力でプレイするところが中山雅史と一緒で素晴らしいと思う。たしかにテクニックで相手に脅威を与えることはないが、その代わり、貪欲にゴールを狙うという「怖さ」を持っている。それに対して香川は、怖さというよりは「巧さ」で勝負をしかけるタイプだ。
つまり、攻撃は「怖さ」だけではダメだし、「巧さ」だけでもダメ。もちろんひとりで両方の良さを持っているのがベストではある。たとえばウェイン・ルーニーは、うまさも怖さもある選手。イブラヒモビッチやファン・ペルシー、メッシなどもそうだろう。だからこそ彼らは「超一流」の選手と言われ、高い値段で移籍金や年俸が設定される。
相手にとって何が怖いかといえば、当然アタッカーにゴールを奪われることだ。その意味で岡崎は、強引にゴールを奪うという怖さを持っている。しかも形にこだわらないで、どこからでも狙う。もちろん香川もゴールをとるが、テクニックやドリブル突破など、巧さで相手にプレッシャーをかける。
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著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。