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【日本代表】遠藤以上の選手はいない!?
ザックジャパンのボランチに求められる能力 (3ページ目)

  • photo by Fujita Masato

 たとえばバルセロナの場合、ボランチをおさえられると、必ずセンターバックのピケかプジョルが高い位置をとってややワイドに開き、ドリブルで持ち出す。そこから、縦パス、あるいはサイドへ展開していく。センターバックが上がれば、ボランチがそのカバーに入る。バルセロナではブスケツがDFラインに下がってくることが多い。実はこういうポジションチェンジは、今の浦和でもやっており、CBの永田充がドリブルで持ち出したときは、必ずボランチの阿部勇樹がカバーに入っている。

 日本代表の場合、遠藤に仕事をさせるために周りがどう動くかということだが、先日のW杯最終予選オマーン戦から本田圭佑が復帰したことで、遠藤の前にいる本田がボールキープできるために遠藤へのプレッシャーが軽減され、そうすることで遠藤が前を向いてプレイすることができていた。

 また、遠藤については、所属チームのガンバ大阪の状態が悪いなかで、果たして自信を持って代表戦のピッチに立てるのか、メンタルも含めてどのぐらいのコンディションにあるのか不安視されていたが、W杯最終予選で非常にいいパフォーマンスを見せてくれた。

 香川真司や本田など、周囲の選手の戦術理解度も高いし、それぞれの役割が明確で、動き方が分かっているので、遠藤本来の力が発揮されたということだと思う。周りの選手の動きの質や相互理解、イメージの共有というものが、今のザックジャパンはしっかりできているという印象だ。

 また、遠藤の代わりがいないというのはずっと言われているが、私としては中村憲剛という選択肢もあるのではないかと考えている。憲剛は、ボランチに求められる資質を経験値も含めてすべて持ち合わせている選手だと思う。ただし、これまでのところ、ザッケローニ監督は憲剛をトップ下で起用しているので、ボランチとしては考えていないのかもしれない。あとは、五輪代表の扇原貴宏や、さらに下の若い世代から、遠藤や長谷部らを脅かすような選手が成長してくることを期待したい。

著者プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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