【名波浩の視点】磐田、FC東京が優勝を目指すために必要なこと
素早い出足でFC東京の攻撃の芽を摘んだジュビロ磐田の藤田義明(右)。左はFC東京の高橋秀人。 Jリーグ第16節、6位ジュビロ磐田と5位FC東京の一戦は、3-1でジュビロが勝利して、3位に浮上した。
試合全体を通してみれば、主導権を握っていたのは、FC東京だった。ポポヴィッチ監督が「集中力がなく、ミスが続いた」と振り返った立ち上がりこそ、その隙をつかれて失点を喫したものの、それを引きずることなく、すかさずバランスを建て直してゲームを支配。梶山陽平や石川直宏に、羽生直剛、太田宏介など多くの主力が戦列を離れていながらも、すぐに自分たちのスタイルに戻せたあたりはさすが。FC東京の能力の高さを感じた。
ただこの日は、ジュビロも非常にアグレッシブなプレイを披露。チームの特徴である、ボールアプローチの速さと、相手ボールに対してさらにもう一歩踏み込んでいける、守備が光っていた。運よくファウルを流してくれたシーンもあったかもしれないが、ボールに行き切ることで相手のプレイを寸断。特に前半は、FC東京の攻撃の芽をことごとく摘んで、守備の面白さというものを感じさせるサッカーを見せてくれた。
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著者プロフィール
名波 浩 (ななみ・ひろし)
1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍