【Jリーグ】躍進ジュビロをけん引する「山田様」の正体 (2ページ目)

  • 望月文夫●文 text by Mochizuki Fumio
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 山田の凄さはゴールだけではない。ナビスコカップ初戦(3月20日)のセレッソ大阪戦ではベンチスタートだったものの、1点ビハインドの後半から出場すると、効果的なパスワークで攻撃のリズムを構築。ゲームの流れを一変させると、「良いボールを出してくれるから、いつも見ている」と言うMF松浦拓弥の反撃の狼煙(のろし)となる同点弾を演出するなど、チームを逆転勝利に導いた。

 さらに、山田のピッチ上での気遣いを称える声も多い。1トップの前田が「孤立しないように意識してくれている」と言えば、山田の後方でプレイする日本代表の駒野友一も「上がれるスペースを作ってくれて、かなり動きやすい」と、チームの主軸2選手が絶大な信頼を寄せている。

 森下監督は、そんな山田を「能力が高いオールラウンダー」と評し、ゲームキャプテンに指名。チームキャプテンのGK川口能活がアキレス腱断裂で長期離脱する中で、「率先してチームを引っ張ってくれる心強いキャプテン」と貢献度の高さを絶賛する。

 山田はジュビロのホームである磐田市の近隣に位置する浜松市で育ち、小中学校時代は下部組織のジュビロ浜北に所属。藤枝東高、明治大を経て、「子供の頃から憧れていた」トップチームに戻ってきた。そんな生え抜きに、クラブは入団と同時にエースナンバーの背番号『10』を授けた。そこには、「将来を背負ってほしいし、それだけの選手」とする吉野博行社長以下、クラブの期待が込められている。

 そして今、クラブの期待どおりの活躍を見せ始めた山田だが、飛躍の場は次のステージへと向かおうとしている。横浜FM戦で圧巻ゴールを決めた翌日、日本代表候補に初招集されたのだ。

「(代表でも)自分らしく、自分にしかできないサッカーができるようにがんばっていきたい」と意欲をのぞかせた山田。ジュビロをけん引する若きエースが、いよいよ"世界"の舞台へと船出する。

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