【名波浩の視点】王者レイソルが開幕ダッシュに失敗したワケ
昨季のMVPに輝いた柏のレアンドロ・ドミンゲス。今季も素晴らしいプレイを見せているが......。 王者・柏レイソルが、昨季のリーグ戦でも2連敗(0-3、1-6)を喫したジュビロ磐田に0-1で敗れた。これで、リーグ戦は4試合を終えて1勝1分け2敗、12位と出遅れた。
だからといって、昨季から何かが劣っているということはない。この試合でも、先制されてからはチーム全体の距離がギュッと縮まって、完全にゲームをコントロール。選手の動き出しが早く、セカンドボールを拾いまくって、ジュビロを圧倒した。攻撃の連続性もあって、昨年と変わらぬ破壊力を感じた。
際立っていたのは、やはりレアンドロ・ドミンゲス。相変わらず"スーパー"な働きぶりで、何度となく決定機を演出した。1点を追いかける苦しい状況に陥っても、独りよがりなプレイを見せないのが、何より好感が持てる。「オレに寄こせ」とすべてのボールを自分に集めて、そこから自分だけで仕掛けていってしまうようなことがなく、周りの選手をうまく使いながら、チームの攻撃を組み立てている。
それがよくわかるのが、スローインのとき。自らスッと動いて相手を引き寄せながら、味方がボールを受けやすいようなスペースを作っている。突出した存在でありながら、そうした献身的な動きができるのも「素晴らしい」のひと言だ。
守備に関しても、非常に安定していると思う。ふたりのボランチを中心に、相手の出鼻をしっかりくじいて、最終ラインも堅実なディフェンスでゴールを死守している。
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著者プロフィール
名波 浩 (ななみ・ひろし)
1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍