【名波浩の視点】8年ぶりのリーグ2位。ジュビロの力は本物か?
前田遼一のゴールで王者・柏を下した磐田。次節(4月7日)は首位・仙台との頂上決戦に挑む。 ジュビロ磐田が柏レイソルに1-0で勝利。開幕4戦で3勝1分けの負けなしと、2004年以来8シーズンぶりの2位に浮上した。
全体的な内容としては、決してジュビロのペースではなかった。それでも、前半30分くらいまでの試合の入り方がよく、相手の攻撃の芽を効果的に摘んで何度かチャンスを演出。26分に松浦拓弥の完璧なクロスから、絶妙な動きを見せた前田遼一がゴールを決めてゲームをモノにした。
好調の要因は、守備。個々の選手が自分の役割を忠実に果たしているのが大きい。レイソルの攻撃の核となるレアンドロ・ドミンゲスを、ボランチの山本康裕と左サイドバックの宮崎智彦がしっかり連携してケアすれば、前線の左サイドでは菅沼実が果敢に仕掛けて、相手右サイドバックの酒井宏樹の上がりを抑えていた。
センターバックのラインコントールも抜群だった。藤田義明とチョ・ビョングクが互いの意見をすり合わせて、チョ・ビョングクがリーダーシップを取りながら、敵FWの背後を狙う動きを封鎖。非常にバランスが良かった。
そのうえで、自陣ゴール前で選手みんなが体を投げ出せるようになった。昨年はあまり見られなかったプレイだが、そうした動きや意識を森下仁志監督は求めるので、それが徹底されてきたのだろう。この日も、ひとりひとりが体を張って、絶体絶命のピンチを再三防いでいた。
GK八田直樹も見事なセービングを見せ、完封できたことはかなり自信になったはず。こうしたディフェンス面の充実が、今の結果にも表れているのだと思う。
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著者プロフィール
名波 浩 (ななみ・ひろし)
1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍