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個の力が融合。なでしこジャパンの武器は組織力だけではない (3ページ目)

  • photo by Tomura Atsushi/AFLOSPORT

 しかも、昨年のワールドカップ決勝の2点目と同じように、コーナーキックからゴールを決めたのが特に大きい。これは、日本のウィークポイントは高さにあると考えているアメリカにとって、相当なダメージになっているのではないか。逆に日本にとっては、アメリカが相手でもセットプレイで点をとれるという自信になっているはずだ。

 そのセットプレイでFKを蹴る宮間あやの精度の高い左右両足のキックは非常に大きな武器。接戦になればなるほど、宮間のキックが勝敗を分けるカギになってくるだろう。宮間はリズムを変えることができる選手であり、局面を打開できる高い技術の持ち主。ただし、宮間が後ろに下がっていては、その持ち味が発揮できないので、宮間が高い位置でプレイできるように、中盤のほかの選手がサポートできるかどうかが重要になる。

 そして、なでしこジャパンの最大のストロングポイントは、勝負をあきらめないこと。アルガルベカップ決勝のドイツ戦は、最終的に負けはしたが、あの展開から2度も同点に追いつくメンタルの強さ、チーム全員の勝負をあきらめない姿勢が出た試合だった。普通であれば勝敗が決まったゲームをひっくり返せる粘り強さが、一番の強みだろう。

 あとは、ベテランの澤がオリンピック本番までに本来の調子までコンディションを上げてくるかどうか。大きな舞台で戦ってきた経験、プレッシャーがかかる試合を経験している澤という存在は欠かせない。

 キャプテンを宮間あやにすることで澤の負担が減ったことは、佐々木監督の判断、マネジメントとして非常によかったと思う。澤が背負ってきている日本女子サッカーの歴史を、これからチームが一丸となって一緒に背負っていけるかどうか。

 なでしこジャパンは、ロンドンオリンピックで、順当にいけばベスト4に進出できると私は思っている。そこから先の対戦相手との力の差はほとんどないだろうから、その後はなかなか予想が難しいが、メダルを獲得するためにも、チームの持ち味を存分に発揮してほしいと思う。

著者プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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