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【ワールドカップ】サッカー日本代表の戦いをスペインの名指導者が分析 「殊勲は中盤だった」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【「不条理な状況にも適応できないと......」】

「グループステージ突破をほぼ確定させたチュニジア戦では、伊東純也が目立っていた。走力の強度が高く、相手にとっては常に脅威だった。三笘、南野拓実、久保建英などをケガで欠きながら、これだけの戦いができたことは及第点と言える。前線も上田綺世はボールをキープするだけでなく、前に持っていく推進力も感じさせ、味方に猶予を与えていた。彼も前回大会より自信がついたのか、成熟を感じさせた」

 エチャリはほとんど手放しで日本の戦いを称賛している。その一方で、彼は最後にこうも付け加えていたのだった。

「スウェーデン戦の日本は、試合を通じてイニシアチブを取って、前半はほとんど相手に何もさせなかった。しかし、後半に同点にされたシーンの前だけは、多くの選手がいるべき場所を見失っていた。(中村がストッキングについて注意を受けるなど)アクシデントもあったようだが、このレベルでは、不条理な状況にも適応することができないと、大きな成功をつかむことはできない。

 同点にされた場面では、シューターに堂安律が簡単に置き去りにされてしまい、しのぎきることができなかった。厳しいようだが、相手への寄せが一歩遅れたら、失点は避けられない。それは真理で、心理的な混乱があったことが見えた。組織や秩序は、日本の強さの根源と言えるだろう。しかし逆境に適応するタフさも大切になるのだ」

 エチャリは言ったが、それは図らずもノックアウトステージ、ラウンド32のブラジル戦での啓示的なメッセージになったのである。

Profile
ミケル・エチャリ
1946年生まれ。サン・セバスティアン出身のスペイン人指導者。選手としては膝のケガにより27歳で引退し、その後は指導者に転身した。レアル・ソシエダでは20年以上にわたり強化ディレクター、育成ディレクター、セカンドチーム監督などを歴任。ホセバ・エチェベリア、ハビエル・デ・ペドロ、シャビ・アロンソなど多くの選手に影響を与えた。エイバルでは監督を務め、バスク代表監督(FIFA非公認だが、バスク最高の指導者に与えられる栄誉職)も10年以上務めた。また、指導者養成学校の教授も務め、教え子にウナイ・エメリ、ミケル・アルテタ、フアン・マヌエル・リージョらがいる。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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