検索

【ワールドカップ】ブラジル戦で露呈したサッカー日本代表の限界点「感動をありがとう」は勝負の本質を曖昧にする (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【後半勝負だったブラジルに対して......】

 日本は徐々にラインが下がり始めると、クロッサーへの寄せがさらに遅くなってしまう。ほとんどフリーで正確なクロスを送られてしまうことで、その対応でも後手に回った。繰り返されるクロス攻撃に、守備のバランスは崩れていったのである。

 後半11分、ブラジルはカゼミーロが右ファーサイドに流れ、決して高さがあるとは言えない中村敬斗とミスマッチを起こすことで、豪快なヘディングを叩き込んでいる。この時も、クロッサーへの寄せが遅れていた。直前にも右からのクロスをファーで折り返し、カゼミーロがダイビングヘッドで際どいシュートを放っていた。予兆のあるゴールシーンだった。

 ブラジルは戦略的に"後半勝負"だった。

 たとえばカゼミーロは全盛期を過ぎ、前半は惨憺たる出来だったが、後半になると積極的にゴール前へ入り、自分の長所を敵の弱点にぶつけるしたたかさがあった。流れを読む目も感じさせた。また、ヴィニシウスも前半は冨安健洋、堂安律、佐野が作った守備網に苦戦する場面もあったが、試合が進むにつれて優位に立っている。後半途中から体力ゲージが再度フルになったかと錯覚を覚えるほどだった。

 森保監督はサイドの守備を補強しようと、中村に代えて鈴木淳之介、堂安に代えて菅原由勢を入れたが、それによって攻め手を失った。まるでPK戦を狙ったような引きこもり戦術は怯懦(きょうだ)に等しく、その臆病さをブラジルにつけ込まれた。つまり、タフに戦い抜く体力、あるいはその駆け引きという点で、日本は敗れたのだ。

「三笘薫、南野拓実、遠藤航がケガでメンバー外、久保建英も使えない状況でよく戦った」

 それは正論だが、戦い方の本質とすり替えるべきではない。たとえばブラジルがクロス中心に戦いを切り替えてきた時にズルズルと後ろに下がってしまうなど、自滅に等しかった。さんざんサイドから攻撃されたあと、今度は中央の守りが疎かになり、中へ決定的なパスを通されて失点した。田中碧のミスはカオスの一端に過ぎないだろう。森保ジャパン8年間の集大成の限界点が浮き彫りになったと言える。

2 / 3

  • Googleで優先するソースとして追加

Googleの「優先ソース」について

キーワード

このページのトップに戻る