サッカー日本代表のワールドカップ北中米大会最大の敵は「暑さ」 大会後半は絶対不利になる (4ページ目)
【暑熱対策にぬかりない日本だが......】
グループリーグだけを考えれば、暑さはむしろ日本にとってアドバンテージになるかもしれない。
なにしろ、「暑さ」なら最近の日本の暑さは世界最高クラス。日本代表選手たちも、ユース年代まではそうした猛暑のなかで、炎天下の試合をさんざん経験してきているはずだ。また、各年代の日本代表は、中東の暑さのなかで試合をする機会が多く、日本のスタッフも「暑熱対策」についての知識が豊富だ。
2002年日韓大会の時は、明らかに高温多湿の気象条件がホームアドバンテージとなって2度目のW杯で初めての決勝トーナメント進出を果たしている。
2006年ドイツ大会では、暑さの影響でオーストラリアに逆転負けを喫した苦い経験もあるが、あの時のジーコ監督は暑熱対策を重視していなかった(ジーコ監督は「サウナに入れば対策できる」と語ったことがある)。
暑さ対策にぬかりがなければ、少なくとも欧州勢との対戦では暑さは日本の味方となるだろう。
だが、それでも負担は大きい(「暑熱対策」そのものが、消耗を伴う)。「優勝」という目標を考えた時には、やはりF組に入ってしまったことは大きな痛手と考えるべきだろう。現在の日本代表の実力で優勝を狙うには、組分けや気象条件など、あらゆるファクターで幸運が重ならないと難しいからである。
著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2025年、生涯観戦試合数は7500試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。
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