【欧州サッカー】ジダン伝説のCLゴールは「再現不可能」 司令塔のイメージを覆し「ギャップ萌え」
世界に魔法をかけたフットボール・ヒーローズ
【第43回】ジネディーヌ・ジダン(フランス)
サッカーシーンには突如として、たったひとつのプレーでファンの心を鷲掴みにする選手が現れる。選ばれし者にしかできない「魔法をかけた」瞬間だ。世界を魅了した古今東西のフットボール・ヒーローたちを、『ワールドサッカーダイジェスト』初代編集長の粕谷秀樹氏が紹介する。
第43回は「サッカー史上最高の選手のひとり」と称されるジネディーヌ・ジダンを取り上げる。選手として個人の主要タイトルを総ナメし、チームとしてチャンピオンズリーグもワールドカップも制覇。指導者になっても早々に頂点を極めた天才は、まだ53歳というから驚きだ。
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ジネディーヌ・ジダン/1972年6月23日生まれ、フランス・マルセイユ出身 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る かつて、司令塔と呼ばれた名手たちは体格に恵まれていなかった。ペレとディエゴ・マラドーナは身長170cm前後で、ミシェル・プラティニ、ジーコ、ロベルト・バッジョは痩身である。
しかし、あの男は頑健な肉体を擁していた。身長185cm、体重80kg。20〜30年ほど前のフットボールでは大型の部類に入る。それでいて繊細なボールテクニックを持ち、卓越した状況判断でゲーム全体をコントロールした。
ジネディーヌ・ジダンである。
「両足にシルクの手袋をつけているかのようにプレーする。私が今まで見たなかで最高の選手だ」
1950年代、レアル・マドリードのチャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)5連覇に貢献したレジェンドFWアルフレッド・ディ・ステファノも絶賛している。
マラドーナのような愛嬌も、プラティニが醸し出す芸術性も、バッジョの悲哀も、ジダンには感じられなかった。風貌は傭兵を思わせるほどたくましく、獲物を狙う野獣のような視線は不気味ですらあった。雰囲気は「荒くれストッパー」に近い。
ところが淡々と、いや、むしろ艶やかにと表現すべきか。ため息を誘うようなスーパープレーが次々に飛び出す。ヒール、アウトサイド、足の裏を使ったシルキータッチのボールコントロールで、相手のスライディングタックルを、プレスを無効化する。傭兵のような男が、だ。
今風に言うなら「ギャップ萌え」。ジダンによって、司令塔のイメージは覆された。
著者プロフィール

粕谷秀樹 (かすや・ひでき)
1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年
、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、 海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム 、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出 版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン 社)など多数。


















