サッカー日本代表のワールドカップ北中米大会最大の敵は「暑さ」 大会後半は絶対不利になる (3ページ目)
【暑さを体験するチームは大会後半不利になる】
今年の夏にアメリカで行なわれたクラブW杯では「暑さ」が大問題となった。猛暑のなか、しかも欧州での放映・配信のために日中に試合が行なわれたので、選手たちの負担が大きくなってしまったのだ。
W杯は(クラブW杯も)6月から7月にかけて行なわれるので、北半球での大会はいつも暑さが問題となる。
1994年にアメリカでW杯が行なわれた時も、東部は異常気象で高温多湿の熱波に襲われた。一方、西海岸は気温が高くても湿度が低く、比較的過ごしやすかった。その結果、東部で激戦を勝ち抜いてきたイタリアと西海岸で戦っていたブラジルが決勝で対戦したのだが、コンディション的にイタリアは大きなハンディキャップを負っていた。
1982年のスペイン大会も地域によって気候が大きく違う大会だった。結局、ベスト4に残ったイタリア、西ドイツ、ポーランドなどは、グループリーグの間、気温が低い大西洋側のラ・コルーニャやビーゴ、オビエドなどで戦ったチームだった。
さて、クラブW杯後の9月に「フットボール・フォー・フューチャー(Football for the Future)」という英国の非営利団体が報告書を発表したが、そのなかでW杯開催都市別に、今年の夏にWBGT(暑さ指数)が35以上になった日が何日あったかを調べた結果が報告されている。
開催16都市のうち、一度もWBGT35以上にならなかったのが5都市。そして、最多はヒューストンの51日、2番目がダラスの33日、次いでカンザスシティの17日、モンテレイ(メキシコ)とアトランタの9日という結果になったそうだ。
そして、F組の試合はダラス、ヒューストン、モンテレイで行なわれるのである。
ダラスとヒューストンではスタジアムは開閉式屋根があって、屋内の気温はコントロールされているが、モンテレイにはそのような設備はない。また、各都市近郊に置かれるであろうキャンプ地でのトレーニングは暑さのなかで行なうしかない。
48カ国参加のW杯では、優勝するためには「中3日」の強行日程も含めて8試合を戦い抜かなければならないのだ。グループリーグの間に暑さのなかで戦って体力を消耗してしまったら、大会後半の戦いでは絶対に不利になる。
だから、F組のチームが優勝するのは非常に困難になるはずだ。
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