サッカー日本代表の「選手の頑張りに頼る」やり方は限界 パラグアイ戦は負けに等しいドロー (3ページ目)
【「5バック」と「前からプレス」】
パラグアイは4バックなのでその前方には6人いる計算になる。5人でプレスを掛けに行くほうが、6人でプレスを掛けに行くより大変だ。運動量を20%増しにしなければピッチをカバーすることができない。
その昔、日本代表監督を務めていた岡田武史氏がNHKのインタビューに答えていた台詞を想起する。
「サッカー選手は1試合平均10キロ走ります。それを日本は12キロに増やすことで、強豪に対抗しようと考えています」
岡田元監督はとにかく頑張って走れという思いきり精神論&根性論を振りかざしたわけだが、そんなことをしたら選手は疲弊して潰れる。森保サッカーも同じ気質を引きずっていた。選手の負担に頼るサッカーだ。
5バックは後ろで守ろうとするサッカーだ。守備的サッカーと言われる所以だ。森保監督は5バックで守りながら、前線からボールを追いかけることを強要する。プレッシングサッカーの定番は4バックだ。プレスを重視するなら、なぜ4バックで戦わないのか。
後ろを固めることも重視したいからだろう。「賢くしたたかに」とは森保監督の口癖だが、筆者に言わせれば「狡い」サッカーだ。
パラグアイ戦で、日本には足をつる選手が目立った。だが、今日のサッカーは選手交代が5人できる。パラグアイ戦のような親善試合は6人が相場だ。5バックでプレスを掛けようとする森保監督的なやり方が、いま世界にじわりと増えている理由でもある。5バックサッカーが占める割合は3割に迫ろうとしている。
そのなかで「兼プレッシング」となると1割程度に下がるが、矛盾を抱えていることは事実。5バックでプレスを掛けようとすれば、自軍両WBの背後はいつの時代も相手の狙い目になる。さらに、森保監督はそこに中村や堂安律、伊東純也、今回は欠席している三笘薫など、4バックではウイングを務める選手ばかりを起用する。より背後を狙われやすい設定となっている。
5バックで後ろを固めながら、前方からプレスを掛ける。パラグアイ戦はその結果、「二兎を追うものは一兎を得ず」に陥った。
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