サッカー日本代表の「選手の頑張りに頼る」やり方は限界 パラグアイ戦は負けに等しいドロー (2ページ目)
【「矛盾」が集約されていたパラグアイの2点目】
その頃、左ウイングバック(WB)の中村敬斗は、相手ボールに転じた時、5バックの一員として最終ラインに留まろうか、高い位置を取ろうか、最適なポジションを取りあぐねていた。スコアは1-1。中村は勝ち越したいという気持ちが勝っていたように見えた。
5バックのWBとしては高すぎる位置。4バックのウイングにしては低すぎる位置。中途半端だった。日本の最終ラインは4+1の状態で、4と5の間(左CB鈴木淳之介と中村の間)には大きなギャップが生じていた。
前からプレスに行くのか。引いて構えるか。徹底されていない感じだった。相手にとってそこは狙い目。危なそうに見えた。
「日本はやや三日月型をした5バックの上に5角形(2ボランチ、2シャドー、1トップ)が乗っかる布陣。サイドアタッカーはWBひとりだ。我々はまずSBにボールを預け、その上で構えるウイングとふたりがかりで日本の両WBの背後を狙った」とは、アルファロ監督の試合後の言葉である。
これは5バックの相手と対峙するときの定石だが、中村と鈴木淳之介はそれを認識していただろうか。中村の中途半端なポジショニングは、日本ベンチの目の前で起きていた事象だ。日本のベンチはどうだったのか。危ないという認識はなかったのか。
その間にパラグアイは中村の背後を突き、プレッシャーのないなかでボールを受けた右SBカセレスは、狙いすましたボールを中央のディエゴ・ゴメスに送り込んだ。2点目のゴールを浴びた瞬間だ。
森保監督は試合後の会見で向けられた「鈴木淳之介はよかったと思いますが、森保監督の評価をお聞かせください」との質問に、肯定的な台詞を述べていたが、筆者には中村との関係は大きな問題に見えた。
相手ボール時には5バック、マイボール時には3バックで構える森保式サッカーの問題は、中村敬斗、鈴木淳之介個々の問題ではない。ベンチの問題だ。ましてや鈴木は代表戦の出場はこれが2試合目である。
中村のポジションが中途半端になる理由もわからないではない。5バックを組めば、フィールドプレーヤーは10人なので、残るは5人になる。5人で高い位置からプレスを掛けに行くわけだ。
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