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サッカー日本代表「ケガ人だらけ」のDF陣に希望の光 欧州の名門クラブで主力の28歳CBが急浮上 (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【冷静に守備ブロックの高さを調整】

 後半に入ると、試合展開が少しずつ変わっていく。ハイプレスが効かない場面も出てきた。ブロックの位置を調整する必要がある。そのバランスを整えるのは、3バック中央に立つ渡辺の仕事だ。

 ここでも彼は、冷静な対応を見せる。「ゲームプランどおりだったのと、分析がうまくいった試合だったと思います」と話すが、守備ブロックの高さを冷静に調整した。

 後半は直接FKから決定的なヘッドを浴びたものの、オープンプレーで失点を覚悟するようなシーンは与えていない。対メキシコ戦初のクリーンシートは、幸運に恵まれたものではなかった。

 試合後の渡辺は、落ち着いた表情を浮かべた。ケガで離脱しているCB陣への配慮を再び口にしつつ、代表定着への意欲を表わした。

「ケガ人が多くてチャンスをもらえて、それをつかまないわけにはいかない。ずっと準備してきたので、(自分のプレーを)しっかり出すためにメンタルを鍛えてきたし、自信を持ってプレーするためにやってきた。それがやっと少しずつ、形になってきていると思います」

 対世界でのゲームプランは明確だ。

 自分たちがボールを支配し、引いた相手を崩すという「対アジアの戦い方」から、相手にボールを動かされるなかで勝機を見出す試合が増えてくる。「ここからは、守備の時間が長くなる試合は絶対にあります。そこで我慢してゼロで抑えて、自分たちがしっかりと決める」とのイメージを描く。

 今はまだタッチラインの外側で治療やリハビリに専念している選手たちも、戦列に復帰すれば、森保監督は招集へ踏み切るはずだ。序列が1試合で大きく変わることはないものの、ここから変わっていく可能性は出てきた。

 CBの明確な戦力として、渡辺が浮上してきた。

著者プロフィール

  • 戸塚 啓

    戸塚 啓 (とつか・けい)

    スポーツライター。 1968年生まれ、神奈川県出身。法政大学法学部卒。サッカー専誌記者を経てフリーに。サッカーワールドカップは1998年より7大会連続取材。サッカーJ2大宮アルディージャオフィシャルライター、ラグビーリーグワン東芝ブレイブルーパス東京契約ライター。近著に『JFAの挑戦-コロナと戦う日本サッカー』(小学館)

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