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サッカー日本代表「ケガ人だらけ」のDF陣に希望の光 欧州の名門クラブで主力の28歳CBが急浮上 (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【ヒメネス相手に一歩も引かず】

 渡辺に課せられた最初の、そして大きなタスクは、メキシコのCFラウル・ヒメネスを抑えることだった。4-2-1-3の3トップ中央に位置する34歳に攻撃の起点を作らせないことで、試合を優位に進めていくことができる。

 果たして、渡辺は序盤からヒメネスを厳しく管理した。最前線に立つ彼にボールが入りそうになると、間合いを詰めてパスカットを狙う。常に先手を取り、自由を与えなかった。

 前線からのプレスが機能したことで、メキシコがロングボールを蹴ってくる場面もあった。ここでも190cmのヒメネスを相手に一歩も引かない。エアバトルでも優位に立った。

「前からいくとロングボールを放り込まれて、アジアカップでやられた感じが想像しやすいと思いますけど、今日はディフェンス陣が跳ね返してくれた」と語るのは堂安律(フランクフルト)である。前線からプレッシャーをかけながらボールを保持するスタイルへ持ち込めたのは、渡辺を中央に配した3バックの奮闘が土台になっていた。

 ヒメネスとのバトルの重要性は、もちろん渡辺も理解していた。

「彼を潰すのは、もともと自分に与えられたタスクだったので、そこはうまくできたなと思います。相手の特徴でもある選手を潰すことで、全体的な流れがこちらに来ると思っていたので。高い位置であればファウルでもいいというのと、プレミアでやっているようなああいう選手は、頭がいいというか相手の嫌なことをやってくる。あえて受け身じゃなく自分からアクションをすることで、相手にリズムを作らせないというのはできたと思います」

 試合の主導権を握り続けた前半は、攻撃でも存在感を示した。

 15分、右ウイングバックの堂安のランニングに合わせて、GKとDFラインの間へロングボールを落とす。堂安が先に触ってGKの頭上を破るが、カバーしたDFがボールを収めて先制点とはならなかった。それでも、メキシコのハイラインを見たうえでアタッカー陣と崩しのイメージを共有したのは、評価できるだろう。

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