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サッカー日本代表の命運を握るウイングバック 三笘薫、堂安律は合格なのか? メキシコ戦は拭えない違和感があった (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【5バックになると弱点を露呈】

 堂安、三笘だけでなく、この日、ウイングバックに投入された伊東純也、前田大然、あるいはクラブ事情で今回は招集されなかった中村敬斗など、いずれも所属クラブでウイングバックなどやっていない。基本はあくまでアタッカーで、前田は昨シーズンのスコットランドリーグ得点王、中村もフランスリーグで二桁得点を叩き出しているのだ。

〈適材適所〉の論理からはかけ離れている。ウイングバックを日常的にやっていない選手をどう評価し、何を求めて仕事をさせているのか。フォーメーションに選手をはめ込んだようにしか見えない。

 たとえば欧州王者スペインは、ラミン・ヤマル、ニコ・ウィリアムスというサイドアタッカーを強力な武器としてサイドに用い、その突破で相手を怯ませ、乱れさせ、優位に立つ。同じようにフランスのキリアン・エムバペ、ウスマン・デンベレ、オランダのコーディ・ガクポ、シャビ・シモンズ、イングランドのマーカス・ラッシュフォード、ブカヨ・サカはサイドで血路を開く貴重な存在だ。

「ヤマルをウイングバックに使う」

 そんな監督のクビはいつはねられてもおかしくないだろう。

 試合終盤、パワーダウンした森保ジャパンは後手に回っていった。伊東、前田がバックラインに吸収されて5バックになると、危うさを露呈。サイドの守備に脆さが出始め、南野が必死に左サイドで守備するも、ボールを奪い返そうとしたファウルで、危険な位置のFKを与えてしまう。クロスからのヘディングではマークにつききれずにシュートを打たれ、GK鈴木彩艶のビッグセーブで凌いだ。ただ、その後も波状攻撃に抗えず、前田が中に絞った守備はうまくクリアできず、こぼれ球をフリーで打たれたが、わずかに左へ逸れた。無失点はむしろ僥倖だった。

 これで強力な相手をねじ伏せられるのか?

 悪くなかった攻撃も、ウイングバックが高い位置で連係し、サイドを崩しきるようなシーンは、ひとつふたつしかなかった。攻撃のスタート位置が低く、守りの意識もあるので、攻めきれないのだろう。そして守備に回ったら、目に見えて弱い。

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