サッカー日本代表はどんなスタジアムで戦うのか ワールドカップ開催国アメリカの特殊事情 (3ページ目)
【サッカーに不慣れなスタッフ】
カリフォルニア州イングルウッドにあるSoFiスタジアムもモダンなすばらしいスタジアムだったが、やはりアクセスが悪かった。観客のほとんどは車で来ているようだ。そこで私はレンタカーを借りてみた。しかし、かなり早い時間に着いても近くの駐車場は満車。どうやら多くの観客は前の晩から車を停め、BBQをしながら試合が始まるのを待っているようだった。駐車場自体も75ドル(約1万1000円)と、とんでもなく高い。結局ここでも遠くの駐車場に車を停め、延々と歩く羽目になってしまった。
資金が潤沢であればタクシーという手もあるが、大会開催中のアメリカは大げさなセキュリティーが敷かれ、警察はスタジアムの周囲を非常に広く閉鎖するだろうから、タクシーでもスタジアムには近づけないだろう。
スタジアムへのアクセスの難しさはクラブワールドカップでも明らかだった。アメリカは車社会で、多くの観客は車で試合に行く。そのため公共交通機関が整えられていないところが多い。これは国外から来たサポーターには大きな問題だ。カリフォルニア州パサデナのローズボウルスタジアムでも、サポーターは気温38度のなか、入場ゲートまで4キロの道を歩かなければいけなかった。
またマイアミやオーランドのような都市では、公共交通機関はあっても、何万人もの観客のニーズに応えていないため、スタジアムへ行くのに要する平均時間は、試合当日は1時間45分にもなった。ワールドカップ期間中はどうなるのか?
今大会はワールドカップのための新しいスタジアムをひとつも作っていない。カタールのようにほとんどが新スタジアムというのとわけが違う。だからハードの部分では問題がないと思っているのだろう。アメリカが大規模なイベントには慣れているのも確かだ。
私の一番の懸念は、運営スタッフからセキュリティーを担う警官、ボランティアのスタッフに至るまで、サッカーに慣れていないということだ。MLSは存在するが、アメリカのサッカーは世界のサッカーとは違う。国内のサポーターではなく、世界からやって来る多言語のサポーターは、野球やアメフトの観客とはまるで違う。
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