【サッカー日本代表】森保監督の鼻を明かすのは誰だ W杯の成績に直結するパリ世代の台頭 (2ページ目)
とりわけ、実際にパリ五輪の舞台に立ち、スペインに0-3の完敗を喫するという悔しい経験をした選手たちには、捲土重来を期待したい。
特に藤田譲瑠チマは、これまでも日本代表に選ばれてきたが、なかなか出場機会が得られずにいる。彼のプロフィールに記された国際Aマッチ出場2試合という記録も、日本代表が国内組だけで参加した2022年E-1選手権でのものなのだ。
だからこそ、「思いとしては全員を(試合で)使ってあげたい。その状況に合わせて、できるだけ多くの選手にプレーしてもらう」(森保監督)というこの機会に、これまでためてきた鬱憤を一気に晴らしてほしいところだ。
とはいえ、現実的に考えれば、パリ世代の大量招集は"繰り上げ当選"の印象が色濃い。
実際、メンバー発表の席上でも、森保監督はあたかも今回選ばれたメンバーと、従来の主力メンバーとの差を強調するかのように、こんなことを話している。
「これまで選んでいるコアな選手の壁は厚いと思うが、自分が成長しながら高い壁に向かって、ハングリー精神を持ってチャレンジしてもらいたい」
「これから先のことも見据え、チーム力を上げるためにも勝利にこだわりながら、選手一人ひとりの成長の促しになるように。選手の成長がチームの大きな成長につながるように」
「若い選手、経験の浅い選手が今回多く選出された。今持っている力でも国際舞台で戦っていけるだけの力があると思うが、この活動を通して、さらなる成長をし、経験を積んでもらいたい」
つまりは今回、パリ世代を中心としたニューフェイスを数多く加えたのは、あくまでも彼らの成長を促すためのものであり、すぐに"真の日本代表"に加われるとは考えていない。そんな胸の内が透けて見えるような言葉が、何度も聞かれたのである。
もちろん、そうした考えがまったくの見当違いだと、否定することは難しい。
これほど多くの日本人選手がヨーロッパのトップリーグでプレーし、しかも、ふた桁ゴールを記録する選手が何人も現われるなどという事態は、日本サッカー史において前例がない。つまり、あとを追う者にとって彼らの存在は、森保監督が言うように厚い壁なのである。
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