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サッカー日本代表の世界への扉を開けたのは30年前のユース世代 予選突破は簡単ではなかった時代

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

連載第43回 
サッカー観戦7500試合超! 後藤健生の「来た、観た、蹴った」

 現場観戦7500試合を達成したベテランサッカージャーナリストの後藤健生氏が、豊富な取材経験からサッカーの歴史、文化、エピソードを綴ります。

 今回は、U-17日本代表について。2025年4月3日からサウジアラビアで開催されるU-17アジアカップを戦い、11月のU-17W杯の出場権獲得を目指します。日本は1993年に自国開催。初めて予選を突破して出場したのは、30年前の1995年大会でした。

1993年に日本で行なわれたU-17W杯世界選手権。写真は現U-20日本代表監督の船越優蔵 photo by AFLO1993年に日本で行なわれたU-17W杯世界選手権。写真は現U-20日本代表監督の船越優蔵 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る

【U-17アジアカップが開幕】

 4月3日にサウジアラビアでU-17アジアカップが開幕する。日本の初戦は4日(日本時間5日)のUAE(アラブ首長国連邦)戦。11月にカタールで開かれるU-17W杯の予選を兼ねた大会だ。

 U-17W杯はこれまで2年に一度開催されていたが、FIFA(国際サッカー連盟)は2025年から毎年開催することを決定。そのため、予選を兼ねたアジアカップも隔年開催から毎年開催に変更された。また、前回までのU-17W杯参加国は24カ国だったが、今年から48カ国と倍増。アジア枠も開催国カタールを除いて8カ国に拡大された。

 つまり、アジアカップではグループリーグで2位以内に入って準々決勝に進出すれば、U-17W杯出場が決まるわけだ。また、参加国数倍増に伴ってU-17W杯のレギュレーションも複雑化するようだ。

 U-17W杯が複雑化したり、毎年U-17代表チームを準備しなければならないなど、変更に伴う影響は大きい。新フォーマットの評価は分かれるところだろう。さらに、今年から2029年までの5大会がすべてカタールでの開催となったこともスポーツ的に正しい決定だとは思えない。

 ただ、いずれにしても日本の若い選手が欧州や南米、アフリカのチームと真剣勝負をする機会が増えるのは間違いないので、その点は歓迎すべきかもしれない。日本の場合、欧州諸国などと違って、強豪国の同年代の選手と手合わせする経験を得ることが難しいが、毎年20数人の選手がU-17W杯という舞台を踏める可能性が出たわけだ。

 いずれにしても、今回のU-17アジアカップでU-17W杯出場権をしっかり獲得してほしいものだ。

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著者プロフィール

  • 後藤健生

    後藤健生 (ごとう・たけお)

    1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2025年、生涯観戦試合数は7500試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。

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