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【サッカー日本代表】冨安健洋が戦力として計算できないセンターバックが心配でならない

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 かつての日本代表において、センターバック(CB)は、長らく悩みの種と言っていいポジションだった。

 サイズを重視すれば、足元の技術やフットワークに欠け、ならばと技術やフットワークを重視すれば、サイズ不足の選手を使うしかなくなってしまう。

 あちらを立てれば、こちらが立たず――。そもそも欧米諸国の選手に比べて、体格で見劣る日本人選手のなかから、理想的なCBを見つける(育てる)のは容易なことではなかったからである。

 実際、ヨーロッパへ渡る日本人選手も、以前は比較的小柄な、俊敏性に優れたタイプのMFやサイドバック(SB)が多かった。

 だからこそ、2022年ワールドカップでの日本代表メンバーは、画期的だったのだ。

 CBとして(SBとの兼用も含めて)名を連ねていたのは、いずれもヨーロッパで活躍する吉田麻也、板倉滉、冨安健洋、伊藤洋輝。これに、ベテランらしい安定したパフォーマンスを見せる国内組(当時)の谷口彰悟を加えた5人は、全員が身長185cm以上にして、ボランチもこなせるほどの器用さを備えていた。

 それは、日本代表史上最高と言ってもいいCBの陣容だった。

 ワールドカップ本番では、ケガを抱える冨安がフル稼働はできなかったが、それでも穴埋めに苦労せず、しかも4バックと3バックを併用できたのは、特定のメンバーに頼らない充実のCB陣を擁していたからに他ならない。

 かつての日本サッカーがCBに苦しんだことを思うと、隔世の感を覚えずにはいられない頼もしさが、そこにはあった。

 ところが、である。

 あれから2年余りが経過した現在、少々雲行きが怪しくなってきている。何より心配なのは、冨安のコンディションだ。

右ヒザの手術で再び戦列を離れた冨安健洋 photo by Sueishi Naoyoshi右ヒザの手術で再び戦列を離れた冨安健洋 photo by Sueishi Naoyoshiこの記事に関連する写真を見る

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