サッカー日本代表メンバー発表 やっと古橋亨梧を招集しても攻撃の理想形は見えてこない (3ページ目)
【「背後に抜け出すスペース」はない】
しかし、これはカウンター攻撃に求められる1トップの動きだ。森保監督はやはりそうしたサッカーがしたいのだろう。ここにきて5バック(3-4-2-1)に傾倒する理由でもある。守備的サッカーをベースにしたカウンター攻撃と5バックの相性はいい。
だが、守備的なカウンターサッカーは強力なCFの存在がなければ成立しない。少ない人数で攻めきることができる能力の高いアタッカーの存在なしに、番狂わせは起こせない。フェイエノールトの2番手ストライカーに甘んじる上田の、アタッカーとしてのレベルが問われることになる。
4-3-3あるいは4-2-3-1で普通に戦った場合、現在の日本なら、スペイン、イングランド、フランス、オランダ、ブラジル、アルゼンチンなど一部の強豪国を除けば、ボール支配率で大きく劣ることはない。今回のアジア3次予選などは特にそれが言える。相手は引いて守ってくる。サウジアラビア、オーストラリアでさえそうだった。引いた相手をどう崩すかが最大のテーマになる。
必然的にサッカーは遅攻になる。1トップに背後に抜け出す動きを求めても、背後にスペースはほとんどない。森保監督が1トップに求める動きは試合展開とマッチしていないのだ。遅攻に求められるのはサイドを有効に活用しながら、丹念に崩すウイングプレーだ。しかし、そのウイングをウイングバックとして使えば、立ち位置が低くなる分、サイド攻撃の威力は落ちる。攻撃は中央に偏りがちだ。
だが、1トップには裏に抜け出すことが得意な選手が配備されている。ボール回しが安定しなくなるのは当然の帰結だ。ボールを失う位置も、サイドではなく真ん中周辺が増える。となると、反転速攻を浴びやすい。5バックの守備的サッカーなのに遅攻。このアンバランス、矛盾こそが現在の森保ジャパンの一番の問題だと、筆者は見る。深刻な問題として表面化しないのは相手が弱すぎるからである。
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