サッカー日本代表メンバー発表 やっと古橋亨梧を招集しても攻撃の理想形は見えてこない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【古橋は「4番目」なのか】

 全10試合中4試合を消化した現在、それはいっそう鮮明になっている。突破確率は限りなく100%に近づこうとしている。それでも森保一監督は心配している。「代表級の選手は他にも数多くいる」と言いながら、試そうとしない。従来の選手に故障が発生しない限り、入れ替えはない。これでは日本代表は硬直化する。敗戦を恐れるあまり、可能性を広げる努力を森保監督は怠っている。このツケは必ずや訪れるだろう。

 上田が故障しなければ古橋は選ばれていなかった。これは間違いないだろう。セルティックの古橋とフェイエノールトの上田。スコットランドリーグがUEFAランキング11位であるのに対してオランダリーグは6位。リーグのレベルはオランダのほうが高い。だが、セルティックがそこで常勝チームとして君臨するのに対し、フェイエノールトはオランダリーグではアヤックス、PSVに次ぐ3番手だ。

 今季ともに出場しているチャンピオンズリーグでは、リーグフェーズの4節を終了した段でセルティックは15位。フェイエノールトは21位だ。そして古橋がエースストライカーであるのに対し、上田はサンティアゴ・ヒメネス(メキシコ代表)に次ぐ2番手ストライカーだ。スタメン出場できているのは、そのヒメネスがケガで戦列を離れたため。ヒメネスが健在なら、出場時間は短い時間に限られていたと思われる。

 立場的、格的に優位に立つのは古橋だろう。百歩譲っても互角だ。だが古橋はこの約1年の間、代表に招集されなかった。森保監督には、小川(NECは現在オランダリーグ10位)、大橋(ブラックバーンは現在イングランド2部リーグ10位)以下との評価を受けてきた。

 森保監督は今回のメンバー発表の席上で1トップ、CFに求められる動きとして、ディフェンスラインの裏に抜ける動きを強調した。ボールを奪ったらまず直線的にゴールを目指したい。その手段として1トップにその動きを求めているようだった。このイメージに最もマッチしている選手が上田で、小川、大橋も古橋に勝ると考えているようだ。

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