サッカー日本代表「超攻撃的」ウイングバックの未来 ワールドカップ本大会ではどうなる? (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【日本代表の超攻撃型ウイングバックの長所と短所】

 現在の日本のように、両ウイングバックに「ウイング」を起用するのはかなり珍しい。

 3バックのシステムは、ウイングバックの人選によって戦術的な色合いが大きく変わる。両方守備的にして5バック化するケースは比較的多く、片側だけ攻撃型というのもよく見る。ただ、両方攻撃型というのは近年では類例が思い浮かばない。「超攻撃型」と言っていい。

 超攻撃型ウイングバックのメリットは言うまでもなく攻撃力だ。日本は予選3連勝、14得点無失点の無双ぶりを示している。1トップ、2シャドー、2ウイングのアタッカー5人を並べる最大火力によって、中国に7-0、バーレーンに5-0と大量点を奪った。

 しかし、3戦目のサウジアラビア戦は2-0。最初の2試合と違い、相手に押し込まれる時間帯も多かった。実質ウイングを使っているのだから、自陣で守備をする時間が長くなれば持ち味は出にくい。両サイドにウイングを配置したメリットはあまり発揮できなかった。

 本来、サウジアラビア戦のような展開は、日本にとって不都合だったはずだ。しかし、ここでそれまでとは別の一面を示している。後半、伊東純也と前田大然の両サイドに代わってからそれが明確に表れていた。

 伊東、前田はどちらもアタッカーだが守備も固く、カウンターアタックではスピードを生かしてウイングバックらしい攻め込みを見せていた。ふたりともウイングバックに特化したタイプではないが、その資質を存分に発揮していたのだ。

 攻撃的ではないが極端に守備的でもない。「攻撃参加するサイドバック」よりも「守備のできるウイング」という選択によって中国戦、バーレーン戦とはまた違った色調になっていて、それがサウジアアラビア戦の流れに合っていた。

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