サッカー日本代表のバーレーン戦大勝もスペインの名指導者は「緩慢」と指摘 久保建英へ苦言も (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【攻撃陣がスピードを高められなかった前半】

「37分、PKを決めた上田綺世のキックはすばらしかった。強く、果断。レーザー照射を受けていたが、少しも動じていなかった

 ただし、冒頭に記したように、前半を総括した場合、単発の攻撃が多かった。攻撃陣がスピードを高められなかったことが最大の理由だろう。たとえば、堂安律はすばらしい能力の持ち主だが、やや油断が見えた。チーム全体、慢心ではないが、強度が足りず、その象徴だった。

 個人的には、なぜ中国戦のメンバーから久保建英だけを外し、鎌田を同じポジションで起用したのか、腑に落ちない。久保は攻撃にスピードを加えられる。鎌田は少し下がってプレーを作る能力に優れるだけに、ボランチに近いポジションのほうが生きるし、PKを取ったシーンはよかったが、前半はこのシーン以外、埋もれていた」

 エチャリはそう前半を振り返った。

「後半、立ち上がりに上田が2点目を記録している。敵陣で南野、三笘薫がふたりでボールを奪い返したショートカウンターだった。交代出場の伊東純也からのパスを決めたものだったが、厳しい言い方をすれば、この攻撃を前半から見せるべきだった。

 率直に言って、バーレーンは弱い。選手の実力差は明らかだ。そういう相手と低調な戦いにつき合うべきではない。力の劣る相手であっても、ペースに巻き込まれることがあるからだ。

 その点で、守田が上田とのコンビネーションから決めた3点目はすばらしかった。その直後にも、守田は左からのクロスに革新的に走って、ファーで合わせていた。バーレーン戦では、守田の判断や動きは模範的だった。

 得点こそなかったが、南野も中国戦に続いて、優れた連係力を見せていた。2点目のボール奪取もそうだが、ポジショニングや判断に優れているからこそ、守備でも貢献できる。彼がいることによって、周りはプレーの選択肢を与えられているだろう」

 エチャリはあらためて遠藤、守田、南野の3人を高く評価しつつ、最後は今後の森保ジャパンにエールを送っている。

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