サッカー日本代表のワールドカップ予選を識者が展望「アジアで強くなる時代は終わった?」 (4ページ目)

【日本代表より選手個々の強化にスポットを】

 アーセナルの冨安健洋のように、ケガの連鎖が生まれてしまうケースもあり、慎重に招集すべきだろう。特定の選手にこだわらなくても、欧州にはたくさんの日本人選手がいる。また、2、3人でもJリーガーを入れると、その選手は強い刺激を受けて飛躍する例も多い。もう少し積極的な選手の入れ替えを行なうべきだ。

 森保ジャパンは、「W杯ベスト8」を目指して戦うが、アジアでの経験はほとんど世界での戦いに結びつかない。なぜなら、あまりにレベルが違いすぎる。アジアカップでは日本に勝ったイラクやイランは「弱者の兵法」で挑んできたが、世界の強豪が日本を相手に守りに入ることはしない。戦いの展開ががらりと変わるのだ。

「ともに予選突破することで団結力を高める」

 そんな意見もあるが、その程度の「チームワーク」では、世界トップとの差が埋められない。それは過去の戦績が物語っている。

 やはり問われるのは「各選手が日常的にどんな勝負をしているのか」だろう。プレミアリーグ、ラ・リーガ、セリエA、ブンデスリーガ、リーグアン、リーガ・ポルトガルで上位を争うクラブの選手は、そこでのプレーに力を尽くすべき。本気度が違う。フェイエノールト、セルティック、ヘントなど欧州カップ戦に出場するクラブの選手も同様だ。

 日本代表の強化以上に、選手個々の強化にスポットを当てる時代が来たのかもしれない。欧州の最前線、特にチャンピオンズリーグでベスト16に進出したクラブに日本人選手がいた場合、来年3月のバーレーン、サウジアラビアとの2試合の招集は回避されるべきだ。

 アジアの予選を経て日本が強くなる、という時代は終わった。事実、2018年ロシアW杯には西野朗監督が大会直前に率いることになりながら、むしろ日本代表は選手たちが強い自主性を見せ、史上最高の戦いを演じている。ベルギーとも互角に渡り合った("神風"で勝ったカタールW杯のドイツ、スペイン戦よりも価値がある)。代表チームは、クラブチームのように監督が日々仕込んだ戦術がモノを言うわけではない。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る