サッカー日本代表のワールドカップ予選を識者が展望「アジアで強くなる時代は終わった?」 (2ページ目)

【主導権を握って相手を圧倒するサッカーを】

 しかし、そのような温い環境は、W杯でベスト8以上を目標とするチームにとって、あるいは優勝を目指す選手もいるなかでは、百害あって一利なし。日本が2026年W杯で目標を達成してもらうためにも、今回の予選は、ただ勝利することではなく、どのように勝利するかにスポットライトを当てる必要がある。

 極端なことを言えば、たとえ10戦全勝で首位通過を果たしたとしても、その試合内容がW杯本大会でベスト8以上を目指す域に達していないなら、そこを厳しくチェックすべきだろう。今回は予選のハラハラドキドキが失われる可能性が高いだけに、サッカーファンがW杯予選を楽しむためにも、その視点が大事になる。

 期待したいのは、おおよそ日本が試合の主導権を握って相手を圧倒するサッカーで勝利すること。そもそもカタールW杯後の森保一監督続投会見の席で、当時の反町康治技術委員長は、「もっと主体的なサッカーで結果を残せるようにしてほしい」と、指揮官に要望したはず。それをアジア予選で実行できなければ、W杯本大会でできるはずもない。

 少なくとも、リアクションサッカーだけでベスト8以上を望むのが難しいことは、カタールW杯でもわかったことだ。

 幸い、カタールW杯以降もヨーロッパ各国リーグのクラブに移籍する日本人選手は増加の一途を辿り、日常的に高いレベルで、より厳しい競争のなかでプレーをする選手だけで代表チームを編成するような状況になっている。対して、サウジアラビアやオーストラリアにしても、ヨーロッパでプレーする選手の人数は日本よりも圧倒的に少ない。中国、バーレーン、インドネシアは、言わずもがなだ。

 前回の最終予選。森保監督は、スタートダッシュに失敗したことで、守備的な4-3-3システムに舵を切って何とか本大会出場に導いた。

 果たして今回は、どのようなサッカーで3次予選を勝ち抜くつもりなのか。前回の反省として、より慎重な戦い方を選ぶようだと、予想外の苦戦を強いられる可能性はあるだろう。

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