なでしこジャパン、善戦もパリオリンピック準々決勝敗退 またしてもつきつけられたベスト8の壁 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko

【収穫もあったがケガ人も続出】

 常に"世界レベル"を日本につきつけたアメリカだったが、この準々決勝には池田監督が築いたなでしこジャパンが集約されていたのではないだろうか。前線からのプレスをスイッチに、連動した守備で相手のスピード攻撃を生むパスを出させない。この守備の形は、失点の場面を除いてはかなり機能していたと言える。

 その反面、攻撃の厚みは出せなかった。サンドバッグのようにアメリカの攻撃を受け続けるなかで、数少ないチャンスをモノにできなかった日本と、数多くのチャンスを日本に削がれながらも、一本を決めきったアメリカ。ここにベスト8の壁があった。

 もちろん収穫もあった。初戦のスペインを相手に藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ→マンチェスター・シティ)が決めた先制FK、ブラジル戦での谷川萌々子(ローゼンゴード)のロングシュートでの逆転ゴール、ナイジェリア戦では復帰した北川ひかる(INAC神戸レオネッサ)が復活FKを決めるなど、若手や代表歴の浅い選手たちが大健闘した。今大会全6点をすべて異なる選手が仕留めていることも、多彩な攻撃力が備わっていることを裏づけている。

 その一方で苦しめられたのがケガ人の続出だった。非常事態に陥ったのは、日本の特長であるショートカウンターで重要な役割を担う左右両サイドバック(時にウイングバック)だった。特に痛かったのが、初戦で負傷した清水梨紗(マンチェスター・シティ)の離脱だ。

 右サイドは清水の独壇場だったが、対となる左サイドでも五輪最終予選前に遠藤純(エンジェル・シティ)が左ヒザ前十字じん帯損傷で長期離脱しており、急遽北川が招集された。瞬く間にフィットして安堵したのもつかの間のこと。その北川も日本国内最後の調整となったガーナ戦で負傷し、大会が始まってからも調整が続いていた。

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