パリオリンピックのサッカーが行なわれたナントでの試合を見て思い出す 26年前のフランスワールドカップとチケット問題 (2ページ目)
【ナントで思い出す1998年W杯とチケット問題】
ナントでの試合では実況アナウンサーが何度も暑さを訴えていたが、26年前も暑かった。
その暑さが日本有利に働いたのかどうかはわからないが、日本は立ち上がりから何度もクロアチアゴールを脅かした。そして、33分には中田英寿からの右クロスに中山雅史が合わせて完璧なシュートを放ったのだが、GKのドラジェン・ラディッチに左手一本ではじき出されてしまった。完璧なシュートだった分、ラディッチもコースを読みやすかったのかもしれない。
日本はその後もチャンスを作ったが、どうしても得点できず、逆に77分に大会得点王となったダヴォル・シューケルに決勝ゴールを決められてしまう。
日本はアルゼンチン戦に続いて連敗し、早々とグループリーグ敗退が決まった。その後、ジャマイカにも敗れて3連敗した日本代表。今だったらボロクソに言われることだろうが、当時は健闘を称える声のほうが圧倒的だった。
今ではどんな大会でも、グループリーグ突破は日本代表の最低限の目標だ。カタールW杯でも日本はグループリーグを首位突破した。だが、ラウンド16で立ちはだかったのがクロアチアだった(日本はPK戦に対して明らかに準備不足だった)。
クロアチアとは2006年のドイツW杯でも対戦しており(0-0)、両国はW杯ではいわゆる因縁の相手となっている。現地に詳しい人に聞くと、クロアチア人の間でも「いつも接戦に持ち込まれるので日本は嫌な相手」と認識されているらしい。
1998年当時、W杯初出場の日本は監督も選手もW杯をどのように戦ったらいいのか手探り状態だった。そして、経験不足はファンやサポーターも、旅行業者も同じで、その結果生じたのがいわゆる「チケット問題」だった。
チケット販売に関連して、偽チケットが横行したり、正規チケットの横流しなどが次々と発覚した。
フランス大会の時は、僕も家族や友人のためにチケットをかき集めたのだが、購入者欄にバハマやロシアのサッカー協会、アフリカサッカー連盟の名前が入ったチケットが何枚もあった。すべて、横流し品である。
とにかく、不正が横行したこともあって発券が遅れ、正規代理店以外を通じて手配した旅行会社にはチケットが届かずに、いくつもの観戦ツアーが中止になった。
チケットなしで現地入りしたサポーターも多かった。
初戦のアルゼンチン戦が行なわれたトゥールーズでは、スタジアムへ続く道路の両側にチケットを持たないサポーターが鈴なりになっていた。僕はメディア用のバスからこの光景を見て、いたたまれない気持ちになった。
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