パリオリンピックのサッカーが行なわれたナントでの試合を見て思い出す 26年前のフランスワールドカップとチケット問題 (4ページ目)
【ある時、チケットを突きつけられた】
ある時、チケットデスクにいたボランティアの女性に「いつまで待たせんねん」とネチネチ文句を言っていたら、その女性が怒り出したことがあった。そして、怒った女性は「それならあんたにチケットをあげればいいんでしょ!」と怒鳴って、僕にチケットを突きつけてきたのだ。
僕は「あなたは最高のホスピタリティーを持つ、完璧なボランティアだ」とお世辞の言葉を残し、「彼女の気が変わらないうち」と思ってさっさとチケットデスクを離れた。
ほかの大会でも似たようなことはしょっちゅうあったが、とくにフランスの場合、規則どおりに動かないので精神的ストレスが大きかった。
現在ではW杯でも五輪でも、チケット販売はインターネットを通じて誰でもが簡単にアクセスできるようになった。また、メディア用のチケットも、そもそもADカードの発行枚数を制限したため、チケット争奪戦はあまり起こらなくなっている。
1998年のフランス。今から思えばいい思い出......では、絶対にない!
著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2022年12月に生涯観戦試合数は7000試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。
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