パリオリンピック、なでしこジャパンはブラジル戦へ明るい材料も ハプニングもなんのその (2ページ目)
【自信をつけた藤野あおばのFK】
日本も、やられっぱなしではなかった。先制ゴールを決めた藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)のFKはそのひとつだろう。「まさか(GKの)手が伸びてくると思ってなかったので内心焦りました(苦笑)」と振り返る強烈な弾丸FKが、なでしこジャパンのパリ五輪初ゴールとなった。
きっかけは、昨年のW杯敗退の試合となったスウェーデン戦だ。終盤に決めれば同点となる直接FKのキッカーを任されたのが藤野だった。ペナルティーエリア左からのいい角度。しかし、キックを極めた自負の薄かった藤野は自信のなさを拭いきれず、蹴り出したボールはクロスバーを叩いた。
チームの勝敗を左右する一本を外して悔しくないはずがなく、責任感の強い彼女がそのままにしておくはずもなかった。そこからの努力を裏づけたのが、フランスへ出発する前日に金沢で行なわれたガーナとの国際親善試合だ。W杯の時とほぼ同じ左サイドで得たFKで、ボールを置いた瞬間「あの時(W杯)の借りを返せそうだ」と思った藤野は、その自信をボールに乗せ、ゴール左上ギリギリにGKの手に触れさせることなく突き刺した。
このゴールについて藤野は、「積み重ねてきた部分もありますけど、あれ(金沢でのゴール)がまぐれだったと言われないように結果を出し続けないといけない。それなりの練習はしてきたつもりなので、それを五輪の舞台で出したい」と話していた。スペイン戦のFKは有言実行となった。
右サイドからのキックは「得意ではない」と本人は言うが、五輪のピッチで今までと違ったのはただ一つ、彼女のマインドだ。ボールを置いた瞬間、苦手なその角度のキックを「蹴りたい」と思った。その自信がそのままボールに乗ったゴールだった。
セットプレーだけは誰にも邪魔されず勝負ができる。藤野以外にも、長谷川唯(マンチェスター・シティ)、北川ひかる(INAC神戸レオネッサ)などキッカーは多い。この五輪での得点源のひとつになっていくに違いない。
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