パリオリンピック、なでしこジャパンはブラジル戦へ明るい材料も ハプニングもなんのその (3ページ目)
【ブラジル戦は勝利するのみ】
初戦で勝ち点は得られなかったが、最少失点差におさえたことは決勝トーナメント進出に向けては好材料だ。中2日で続く第2戦の相手ブラジルとは、昨年から3戦(日本の1勝2敗)交えており、戦い方は心得ている。負け越してはいるが、内容的にも相性的にも、決してやりにくい相手ではない。
ただし、フィジカル的に上回るブラジルは中盤をマンツーマン気味に守ってくる可能性が高い。日本はボランチが相手のマークをどう剥がしていくか、攻守の切り替え時に好機が潜んでいる。
不動の右サイドとして信頼の厚かった清水梨紗(マンチェスター・シティ)が、スペイン戦で無念の負傷離脱となった衝撃はあまりにも大きい。
それでも希望もある。ナント入りしてからも別メニューで調整を続けていた北川(金沢で負傷)、林穂之香(ルトゥケ/合宿地で負傷)のふたりがスペイン戦翌日の練習から完全復帰したのだ。
ここからはスペイン戦で狙われた左サイド、そして清水の抜けた右サイドの穴を埋めながらの総力戦となる。ブラジルも初戦でナイジェリアを1-0の僅差で破っていることから、グループCは実力が拮抗している。ブラジルに勝てば、決勝トーナメント進出が見えてくる重要な一戦だ。
移動日の朝にはフランスの高速鉄道の線路が破壊される事件が発生し、大混乱を起こした。なでしこジャパンは初戦開催地のナントからの鉄道移動が不可能となり、練習会場へ乗ってきたバスでそのままパリへ向かうことになった。
ナント駅までの2、3分で終わるはずだったポリスエスコートもパリまで続行。約5時間かけて選手村に入るというハプニングもあったが、それも選手たちはストレスとしてではなくポジティブに捉えていた。
スペイン戦からの切り替えはすでに完了している。あとはパリでしっかりブラジルに勝利するのみ、だ。
著者プロフィール
早草紀子 (はやくさ・のりこ)
兵庫・神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。在学中のJリーグ元年からサッカーを撮りはじめ、1994年からフリーランスとしてサッカー専門誌などに寄稿。1996年からは日本女子サッカーリーグのオフィシャルカメラマンも担当。女子サッカー報道の先駆者として、黎明期のシーンを手弁当で支えた。2005年より大宮アルディージャのオフィシャルカメラマン。2021年から、WEリーグのオフィシャルサイトで選手インタビューの連載も担当。
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