谷口彰悟が目の当たりにした大久保嘉人のすごさ「DFよりも先にボールに触れるのには、明確な理由があった」 (2ページ目)
【絶対的な理論を本能的に掴んでいた】
自分の練習や試合の都合で、実際にスタジアムで彼らが戦う姿を見たのは、グループステージ初戦の中国戦と、2戦目のUAE戦だけに限られたが、幸大は発言どおりのパフォーマンスを見せていた。球際の厳しさ、ボールを前に持ち運ぶプレーも含め、大会が始まった初戦と優勝した決勝戦のプレーを比べても、成長している様を感じ取った。
パリ五輪への出場を勝ち獲っただけでなく、大会で優勝したU-23日本代表の選手たちには心から「おめでとう」という言葉をかけたい。同時に、彼らの成長スピードを目の当たりにして、自分自身も強い刺激を受けた。
そして、自分も多くの人たちと出会い、学び、吸収してきたことで成長し、今日の自分が形成されていることを思い出した。
振り返ると、川崎フロンターレに加入したプロ1年目の2014年に、ストライカーとしてチームを牽引していたのが大久保嘉人さんだった。
2021年をもって現役を退くまで、J1リーグ歴代1位の191得点を記録した嘉人さんは、ちょうど前年(2013年)にリーグ戦で26得点を挙げ、得点王に輝いたばかりだった。
そこから3年連続で得点王になるわけだが、とにかく日々の練習ではストライカーとしての能力の高さ、すごさをまざまざと見せつけられた。
真っ先に思い起こす姿は、毎日のようにシュート練習をしていたことだろう。あのシュート練習は、自分のなかにあるキックの感覚を確かめているのだろうと思って、いつも横目に見ていた。
実際に練習でマークした時に感じたのは、得点が生まれる場所、まるで型のようなものを、嘉人さんがものすごく理解していたことだ。
頭のなかで、DFがこう動くと、ここが空く。こういう状況では、ここに走ればボールがこぼれてくるといった、絶対的な理論を本能的に掴んでいる人だった。
そのプレーはDFの動きを計算しているため、守る側である自分にとっては勉強になった。
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