どうした韓国!? サッカー五輪代表の歴史的予選敗退はなぜ起きた 日本も油断できない共通の事情 (3ページ目)
【インドネシアはアジアの急速レベルアップの一例】
ひとつの間違いが致命傷につながり、アジアの国々にひと泡吹かされる。これは逆に言えば、アジアのレベルが上がっている証拠でもある。
奇しくもこれを証明しているのが、「韓国を下した国の韓国人監督」だ。
今回のインドネシア代表を率いたのは、2018年のロシアW杯当時の韓国を率いたシン・テヨン監督だった。シン・テヨン監督は2019年末からインドネシアA代表監督に就任。現在はU-20代表以上の指揮を任される。
就任当初は、インドネシア代表クラスの選手についてこう嘆いていたという。
「20分しか体力が持たない。20分はいい技術を発揮するがそれ以上はダメ」
それが5年経った今、AFC U-23アジアカップで韓国を下しベスト4進出。五輪出場権への「最終コーナー」にまでたどり着いた。
もちろんシン・テヨン監督が現地で評価される、「選手へのリスペクトとリーダーシップの絶妙な使い分け」という手腕は、非常に大きいものだ。本人に幾度かインタビューしたことがあるが、その語り口にはハキハキと最小限の言葉でスパッと相手に伝えるうまさがある。
一方、当初のインドネシアの選手たちは「体系的なコア運動やウエイトトレーニングを受けたことがない」状況だったという。そんな選手たちが、昨今のトレーニング手法や戦術の情報伝達のスピード化もあって変化していける。あらためてアジア全体のレベルアップを感じさせる大会となっている。
日本は4月29日にイラクと対戦する。勝てば五輪出場権獲得だが、敗れればこのインドネシアもしくはウズベキスタンと出場権を争う3位決定戦に回る。国名を聞いて「ラクだな」とは決して思ってはならない。そんな時代になっているのだ。
著者プロフィール
吉崎エイジーニョ (よしざき・えいじーにょ)
ライター。大阪外国語大学(現阪大外国語学部)朝鮮語科卒。サッカー専門誌で13年間韓国サッカーニュースコラムを連載。その他、韓国語にて韓国媒体での連載歴も。2005年には雑誌連載の体当たり取材によりドイツ10部リーグに1シーズン在籍。13試合出場1ゴールを記録した。著書に当時の経験を「儒教・仏教文化圏とキリスト教文化圏のサッカー観の違い」という切り口で記した「メッシと滅私」(集英社新書)など。北九州市出身。本名は吉崎英治。
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