宮本恒靖JFA新会長「激減した日本代表の地上波放送」をどうする? 「工夫を凝らし、適正な価格で」 (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【川澄奈穂美や中田英寿の力も借りながら...】

 同時に、JFAがFIFAやAFCとのパイプを太くしていくことも重要だ。宮本会長も「国際機関に日本から人材を派遣し続けることを推進したい」としている。

「昨年10月にウズベキスタンで、AFCの各国協会の会長と専務理事の会議がありました。そこでプレゼンのオファーをもらい、まさにプレゼンスを高めるためには重要と判断して受けました。

 そういう場所へ出て行けば、当たり前ですが知り合いが増えます。FIFAやAFCとのつながりは、国際大会の招致にもつながってくるものなので、少しずつでも着実に進めていきます」

 個人的なパイプはすでにある。スポーツ組織の運営や経営などを実践的に学ぶFIFAマスターでの学びは、グローバルに知己を得ることにつながっている。

「FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長の秘書も、FIFAマスターの卒業生です。国際大会が行なわれるごとに卒業生が集まる機会がありますし、同じタイミングで学んでいなくても、卒業生同士で交流が深まっていったりもします。そういったネットワークも、これからの仕事に生かせていければと思います」

 会長就任とともに発表された理事には、現役女子サッカー選手の川澄奈穂美さんらが名を連ねた。国内で仕事を進めていくにあたっても、独自の人脈と視点の活用が期待される。宮本会長の同世代には中田英寿さんらもおり、「適材適所の大原則のなかで、いろいろな人の力をお借りしながら、日本サッカーを前へ進めていきたい」と話す。

 サッカー協会のトップとして動き出したが、宮本会長の視線はスポーツ界全体へも向けられている。少子化などの社会問題に照らしながら、サッカーとスポーツのあるべき未来を探っている。

「JFAとしては登録人口を増やしたいのですが、個人的にはマルチスポーツについても考えています。少子化のなかでサッカー界だけ、野球界だけで子どもたちを取り込んでいくのは、なかなか難しいでしょう。

 ひとつの種目に集中して取り組むことがよいと言われてきた時代もありましたが、いろいろな身体の使い方ができれば、どの競技にも生かされます。子どもたちの可能性を広げるための『スポーツ界のハブ』になれたらと。

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