サッカー日本代表 6月の消化試合で必要なのは「新陳代謝」「再構築」 識者が提言 (4ページ目)

 そこで浮かび上がったのは、チームが立ち返る場所、つまりチームの下地がない、という問題だった。対戦相手の選手と比べ、日本には日常的にヨーロッパの高いレベルでプレーする選手が多いにもかかわらず、その優位性が脆くも失われてしまった原因だ。

 どんなサッカーを目指し、そのためにどんな戦術を構築するのか。試合中は選手のアドリブが必要な場面もあるにせよ、最低限、目指すサッカーを実行するためのチーム戦術を機能させるためのベースは必要になる。

 ある意味、現在の日本はそのベース作りをゼロから作り上げる必要がある。少なくとも、2018年9月にスタートした第1次森保ジャパンの時代より自由度が増した分、現在はチーム戦術のレベルが低下。3月21日の北朝鮮戦などは、その問題点が露呈した試合内容だったと言える。

 幸い、6月のミャンマー戦とシリア戦が行なわれる時期は、ヨーロッパ組もシーズンを終えた直後で、とんぼ返りでヨーロッパに戻る必要はない。しかも、次の代表ウィークは9月に予定されるW杯アジア最終予選であることを考えると、もはやチームを再構築する機会は、6月の2試合しかないということになる。

 もちろん、同じフルメンバーで2試合を戦う必要はなく、フレッシュな選手がそこに加わってもいいだろう。重要なのは、勝敗よりも攻守両面の戦術再構築に重点を置き、残された2試合を有効活用することだ。

 もしそのスタンスで戦いながらも改善の兆しが見えないなら、会長も代わった日本サッカー協会は、いよいよそれまでの体制との"違い"を見せる必要があるだろう。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

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